伊藤詩織さん民事訴訟を応援するブログ

伊藤詩織さんの民事訴訟について、裁判資料や報道を元に検証します。伊藤さんを不当に貶める言説に触れてしまった人の心を癒やせる内容になるよう頑張ります。「伊藤詩織さんの民事裁判を支える会」とは関係なくやっておりますので、内容について同会への問い合わせなどはお控えください。

伊藤さんの事件が「枕営業」ではありえない5つの理由

 

はすみ氏訴訟で双方盛り上がっているので、簡潔に論じます。

 

ざっくり言うと

枕営業なら
1.泥酔する必要がない

2.駅で降りようとしない

3.事前に避妊具を準備するのが自然

4.山口さんからの「満額回答」を蹴らない

5.警察への相談が早すぎる

 

まず、訴訟に提出されたメールや伊藤さんの著書の記載などを参考に、事件前後の時系列を確認します。

 

3月25日 

伊藤さんから山口さんに就職支援・口利き(無給インターン)を求めるメール。東京に戻ったら面会したい旨を伝える。

山口さんから、有給プロデューサーでの就職も検討する旨を返答、履歴書送付を依頼。

3月26日

週刊文春発売

3月27日

伊藤さん、山口さんに履歴書を送付。

3月28日 

山口さん、「最大の関門はVISA」「翌週ヤボ用で帰国する」と伝達。

伊藤さん、面会を希望。

3月29日 

山口さん、事件の舞台となるホテルを予約(4月1日から3泊4日)

3月30日

山口さん、4月3日に会食することを提案、伊藤さんは了承。

4月1日 

山口さん、週刊文春を読むよう伝達。

4月3日  事件    

4月6日 

伊藤さん「ビザの件はどうなりましたか」メールを送信

4月9日 

伊藤さん、原宿署に事件を相談 

4月14日

伊藤さん「連絡いただけますか」

山口さん「面接を受けたらプロデューサーとしてVISA取得支援する」

 

確かに、伊藤さんから就職の口利きを求めるメールを送ったことは事実で、これは伊藤さんも著書で認めています。とはいえ、以下に指摘する5点から、伊藤さんからの「枕営業」ではないとほぼ断言できると考えます。なお、ここでいう「枕営業」とは、「伊藤さんは会食時点で性行為を誘うつもりがあった」という意味あいに捉えて下さい。

 


1 .泥酔枕営業


山口さんは、事件について裁判で

  • 伊藤さんは串焼き屋でワイン約5杯、鮨屋では日本酒6−7合という極めて大量のお酒を飲んだ
  • ホテルに連れ込んだのは、伊藤さんが誘ってきたからではなく、タクシー車内で嘔吐した伊藤さんを介抱するため
  • ホテルに入った時の伊藤さんは一人で服を脱げない状態だったが、2時間ほどすると完全に酔いが覚めていた
  • 伊藤さんは髪に嘔吐物が付着して匂いもあったが、性行為前にシャワーを浴びていない
  • 翌朝伊藤さんはゲロの匂いをさせながらシャワーも浴びずに朝6時前に帰った。なぜそんなに早く帰ったかはわからない。

 などと説明しています。酔ったフリをするくらいならまだしも、ゲロを吐きまくって爆睡し、シャワーも浴びずに深夜に性交を求め、朝になったらさっさと帰るなどという枕営業があるでしょうか。常識的にはこの1点だけで十分だと思いますが、以下さらに4点にわたって述べていきます。

 

2.伊藤さんは駅で降りることを希望


タクシー運転手の証言によれば、伊藤さんはタクシー車内で「駅で降ろしてください」と何度も発言していたが、山口さんがホテルに向かうよう指示したとのこと。酩酊を口実とした枕営業なら「酔ってしまったので山口さんのお部屋で少し休ませてください」となるはずです。

 


3.避妊具が用意されていない

 

避妊具なしで性交したことを山口さんも認めていますし、伊藤さんも直後に緊急避妊薬の処方を受けています。伊藤さんが事前に枕営業を計画していた場合、何らかの手段で避妊の手段を準備するでしょう

なお、「緊急避妊ピルで十分ではないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。緊急避妊ピルは最近、副作用が少ないタイプが普及していますが、それでも普段から常用するタイプのものに比べて確実さに欠けるうえ、費用も常用タイプ数ヶ月分となるため、あまりよい手段ではありません。

 


4.「満額回答」を黙殺


伊藤さんは、事件後3日めの4月6日に「ビザの件はどうなりましたか」と山口さんにメールを送りました。枕営業」を主張する人達の主な根拠がコレです。伊藤さんがこのメールを送った真意、心理については別に論じますが、本項では「枕営業性」の否定を行います。

このメールには山口さんからは返事がありませんでしたが、4月14日に伊藤さんから「この間は罵声を浴びせてすみませんでした」などと再度メールすると、山口さんから直ちに「こちら(TBSインターナショナル)で面接を行えば実質合格で、(有給職の)プロデューサーとして雇用します。ビザも手配します」と就職についてほぼ満額回答が得られました。

もしも伊藤さんが枕営業をしたのであれば、この時点で満足して矛を収めたはずですが、実際の伊藤さんは次のエントリで触れるように「妊娠の不安」に触れ、山口さんに謝罪を求めたのです。


5.早期に警察へ相談している

最後に。伊藤さんが警察に相談したのは4月9日であり、前述した14日の「罵声を浴びせてすみません」メールより前です。「枕営業」だったのなら、警察への相談の前に一度くらいは回答を催促しそうなものですが・・・。

 

以上、「枕営業ではない理由」を5点にわたって述べました。次回は「妊娠を理由にした恐喝ではない理由」について論じます。