凡例
(S→Y)伊藤さんから山口さんへのメール。
(Y→S)山口さんから伊藤さんへのメール。
メール内の太字は筆者が施した。
3月25日(水) 伊藤さんから山口さんにメールを送信
(S→Y)山口さん、お久しぶりです。お元気ですか?
昨年は日本テレビでのインターンを紹介していただきありがとうございました。
学校でのラストスパートと並行して大変貴重な経験を培うことができました。
現在は東京のロイター通信でテレビニュース部のインターンをしております。
CNN東京からもインターンのオファーを頂いたりと、
ニューヨークでの経験が大変役立っております。
本当にありがとうございました。大変感謝しております。
以前山口さんが、ワシントン支局であればいつでもインターンにおいでよといってくださったのですが、
まだ有効ですか?笑
現在絶賛就活中なのですが、
もしも現在空いているポジションなどがあったら教えていただきたいです。
東京にお戻りの際はぜひお会い出来たらうれしいです。
事件前には伊藤さんからメールを送っている。「日本テレビでのインターンを紹介していただきありがとうございました」とあるが、伊藤さんによれば、山口氏から日本テレビの人を紹介してもらった上で、面接やテストなどのプロセスを経てインターン採用されたとの記載がBlackBox内にあるので、今回もそのようなプロセスを踏むことが念頭にあったのだろう。
ニューヨークで大学卒業を目前にして、私は本格的にインターン湿布の受け入れ先を探し始めた。言質にある働いてみたいと思うメディアの関係者にメールを送った。その中に山口氏も入っていた。一年ぶりに連絡をしたが、山口氏は、「TBSはいま、人が足りている。日本テレビはいつも人を募集しているみたいだから、自分の知り合いのニューヨーク支局長に連絡してみたら?」と紹介してくれた。ウェブで募集の詳細を確かめ、面接とテストw受けて通過した後に、同じ年の九月から日本テレビでインターンとして働き始めた。(BlackBox kindle版 No334)
(Y→S)インターンなら即採用だよ。プロデューサー(有給)でも、詩織ちゃんが本気なら真剣に検討します。ぜひ連絡ください!
山口氏はhanada手記で「あなたの強い要望がきっかけとなって、問題となった恵比寿での会食がセットされました。」と記しているのだが、このメールを読む限りは、山口氏も会食にはある程度前向きだったように思える。伊藤さんの方も「仕事の口利きをしてもらうために、自分でホテルまで付いていったのではないか、と誰かに邪推されるのは何よりも嫌だった。人を紹介してもらったり、仕事の口利きは頼んだが、私は一度として、そんなつもりで山口氏に会ったことはない」と著書に記している(Kindle版.No830)ので、この会食は両者が希望して実現したものと解釈するのが一番妥当なところではないだろうか。
(S→Y)早速のご返信ありがとうございます!本気です!
プロデューサーのポジションに応募させていただきたいです。
是非とも検討していただけませんでしょうか?宜しくお願いします!
山口氏は「!マークのたくさんついたメールが何度も送られてきました。」ともhanada手記で記している。確かにこのメールに!マークはたくさんついているが、次の返信からは、山口氏がイヤイヤながら応じたというふうには読めない。
(Y→S)本気みたいだね。そしたらこっちも本気で検討します。
日本語で履歴書を作ってPDFかFaxで送って下さい。
あとビザは持ってる?
新規プロデューサーという事になると、採用やら待遇やら、
TBSインターナショナル本社の決済(ママ)を取らないとなりません。
これにはかなりの時間がかかります。
あるいは、まずこっちに来てフリーランスとして契約して、
しばらく仕事をしてもらいながら正式な採用に向かうという手もあります。
このやり方なら私が決済できます。
どういうやり方がいいか、ちょっと考えてみます。
3月26日(木)週刊文春発売
山口氏執筆「ベトナム戦争・韓国軍慰安所」記事掲載の週刊文春が発売。
この記事は当初山口氏がTBSで報道しようとしたが叶わず、週刊文春で発表した内容だ。
3月27日(金)山口氏の東京召喚が決定・通知
山口氏、FBに「どれだけ厳しい状況におかれても、自分を信じていれば心は晴れる」という趣旨の投稿。文春発売を受けて急遽、東京への召喚が決まったことが推測される。山口氏にとってもこのタイミングでの帰京は想定していなかったことなのだ。
新潮も同様の見解。
ちょうどその頃、山口氏に対して、TBS本社からの“召還命令”が届いていたとされる。それは、本社が認めなかったものを他媒体で紹介したことについて東京側は事情聴取を行いたかったからである。(中略)3月26日発売の文春記事がなければ召還も、望まぬ行為に巻き込まれることもなかった。公文書捏造という“罪”が背徳行為を誘発したということになる。
安倍総理を援護したくて虚報発信! 「韓国軍に慰安婦」記事 山口敬之と公使のメール公開【検証4】 | デイリー新潮
(S→Y)山口さん、お疲れ様です。
日本語の履歴書を添付させて頂きますので、ご検討の程よろしくお願い致します。伊藤詩織
3月28日(土)山口氏、帰国予定があることを伊藤さんに伝達。
(Y→S)履歴書受け取りました。ありがとう。最大の関門はビザだね。
TBSで支援する事も可能ですので、検討してみます。
ところでヤボ用で一時帰国する事になったんだけど、来週は東京にいますか?
急遽厳しい状況に置かれた山口氏だが、「ヤボ用」とオブラートに包んだ表現をし、伊藤氏との面会をセッティングしている。やはり、山口氏としても伊藤さんとの面会を望んでいたようだ。そんなに伊藤さんの就職を支援したかったのだろうか? ちなみに、伊藤さんを中傷する人達は伊藤さんの学歴などをあげつらい「伊藤氏がTBSに就職できるはずもない」というような事をよく言う。しかしながら、当時ワシントン支局長をしていた山口氏が伊藤氏の履歴書を見た上で就職を前提とした面会をオファーしているのだから、少なくとも経歴や学歴には問題ないはずなのだが。
(S→Y)ご連絡ありがとうございます。
VISAは難しい部分であります(原文ママ)よね。ご検討の程、よろしくお願いします。
はい、来週東京にいます!
一時帰国ということはお忙しいかとは思いますが、
もしお時間がありましたら是非お会いしたいです!
3月29日(日)山口氏、ホテルを予約。
(Y→S)「最大の関門はVISAだね。支局スタッフとして雇用するために会社で支援した実績はあるようです。来週後半、空いている夜はある?」(14:26)
山口氏、 事件舞台となったホテルを一休.comで予約(4月1日から3泊4日)(14:46)
(S→Y)調べていただきありがとうございます。少し望みが見えて嬉しいです!
空いています!山口さんのご都合のいいお日にちを教えていただければ幸いです。(23:29)
伊藤さんを応援する立場の方にも、山口氏がいつから「その気」だったかについては色々議論があるが、私としては、このホテル予約時刻が一つのヒントになるのではないかと感じている。山口氏は、帰国が決まった段階ではなく、伊藤氏との会食の日時が決まりそうになった段階でホテルを予約した。 当該ホテルは3泊4日で97,038円(控訴答弁書より)と高額だ。
予期せぬ東京出張、用務は文春記事についての聴取という気の進まぬもの。気分も到底アガらないだろうから、一人宿泊にこのような高級ホテルをとるのはやや違和感がある。 おそらく山口氏は、!マークにあふれたメールから伊藤氏も「その気」だと期待し、颯爽と伊藤氏をエスコートする自分の姿を夢想していたのではないか。最初から伊藤さんを意識のない状態にさせるつもりなら、高級なホテルを予約する必要はないだろう。ただこれは最終的には山口氏の価値観ではある。
上客とはどういう意味?
— 小林 章 (@Akira_5884) 2020年9月18日
「数年前から宿泊のご利用はありません。」 https://t.co/Q4z6GboiTW pic.twitter.com/2VXji6vNfr
↑宿泊予約時間のソース。
3月30日(月)山口氏、帰国
(Y→S)了解です。そしたら、金曜日空けといてもらえますか?なんか奢ります。
(S→Y)了解しました!4月3日空けておきます!また時間など決まりましたらご連絡ください。
山口氏は裁判で以下のように説明している。
顧問弁護士からの調査を受けるために3月30日に一時帰国した。
元TBS記者の山口さん「なだめるような気持ちで性行為に応じた」伊藤詩織さんの主張に反論 - 弁護士ドットコム
原告代理人:では、3月30日、それから31日、このシェラトン都ホテル東京に宿泊する前ですが、どちらのホテルにお泊まりでしたか。
被告:ちょっと覚えてないですね。その一時帰国を命ぜられている間、ずっと同じホテルが予約できなかったので2つに分けたんですけども、最初のホテルがどこだったかちょっと覚えてないです。
3月31日(火)TBSで山口氏に対する聴取が開始。
甲46号証の1
— 小林 章 (@Akira_5884) 2020年6月20日
「ご質問」①
被控訴人(原告)代理人#わたしは伊藤詩織氏を支持します pic.twitter.com/zHll61Yga6
甲46号証・TBS法務・コンプライアンス室長からの回答によれば、この日から聴取が開始されている。
4月1日(水)山口氏、文春を読むよう伊藤さんに指示
(Y→S)金曜日、午後7時位からになると思います。何か食べられないものある?
あと、今売っている週刊文春に僕の寄稿が掲載されているから読んでおいてね。また連絡します。(16:54)
(S→Y)
一時帰国前に伊藤さんに「週刊文春を読んでおいて」とメールしているのは、伊藤さんに対し「一時帰国したのはこの記事について調査するため」と示したもの。伊藤さんと会う4月3日段階で解任の可能性があるなら「読んでおいて」というはずがない。
元TBS記者の山口さん「なだめるような気持ちで性行為に応じた」伊藤詩織さんの主張に反論 - 弁護士ドットコム
山口氏は「文春を読んでおいてね」というメールから、ここまで読み取ることを要求していたようだが、これは若干無理ゲー感があるように思う。
本エントリは以上。
重要なこととしては、
1.伊藤氏・山口氏の面会は双方の意思と、山口氏の東京召喚という偶然から実現した
2.山口氏は伊藤氏との会食が決まりそうになった段階で高級ホテルを予約。