伊藤詩織さん民事訴訟を応援するブログ

伊藤詩織さんの民事訴訟について、裁判資料や報道を元に検証します。伊藤さんを不当に貶める言説に触れてしまった人の心を癒やせる内容になるよう頑張ります。「伊藤詩織さんの民事裁判を支える会」とは関係なくやっておりますので、内容について同会への問い合わせなどはお控えください。

伊藤さん事件 時系列チェック① 2015年4月1日まで「伊藤さんにメールした20分後にホテルを予約」

 

こんにちは。この「時系列チェック」シリーズでは、双方のメールのやりとりだけでなく、裁判に提出された資料群と突き合わせることで事件前日までの双方の動きを浮かび上がらせたいと思います。

本エントリでは読みやすさを考え双方のメールについては要点のみ載せています。全文は、みんな大好きJFNYさんのサイトをご参照ください。

メール(全公開) | JUSTICE FOR NY

 

 

ざっくりいうと

1.山口さんは「来週後半、空いてる夜はある?」と伊藤さんに送信した20分後に、予約サイトで「来週後半」の事件の舞台となったホテルを予約した。このホテルは山口さんの東京での用務先からは交通の便が悪い上、値段も高くシングルルームの設定がない・・・。

2.山口氏はhanada手記で「一時帰国の経緯について伊藤さんに伝えた」と主張しているが、少なくともメールからはそのように読み取れない。

 

 

凡例

(S→Y)伊藤さんから山口さんへのメール。

(Y→S)山口さんから伊藤さんへのメール。

 

3月25日(水) 伊藤さんから山口さんにメール

(S→Y)ワシントン支局のインターンはまだ募集していますか。東京にお戻りの際はお会いできたら嬉しいです。

(Y→S)インターンなら即採用。プロデューサーもあなたが本気なら真剣に検討します。

(S→Y)プロデューサーのポジションに応募したいです。

(Y→S)本気みたいだね、履歴書を送ってください。プロデューサーの場合は本社の決裁が必要でかなりの時間がかかります。どういうやり方がいいか考えて見ます。

 

(解説)

 事件前に最初に接触を試みたのは伊藤さん。「仕事の口利きを頼んだが、そのためにホテルまでついて行ったのではない」と著書ブラックボックスでも記載しています(Kindle版 No.829)

 伊藤さんがすべてのメールを著書で公開していないことについて、「都合の悪いことを隠している」「印象操作だ」と批判する向きもあるようです。確かに伊藤さんはメールのやりとりをすべて記載していませんので、そのような解釈も可能でしょう。とはいえ、伊藤さんは山口氏のTシャツを着て帰ったことや、山口氏に「入院していた」と嘘をついたことなど、伊藤さんにとって都合の悪いことも正直に記載していますので、筆者にはやや一面的な評価と感じられます。

 

3月26日(木)週刊文春発売

 山口氏執筆「ベトナム戦争・韓国軍慰安所」記事掲載の週刊文春発売。

 

3月27日(金)山口氏の東京召喚が決定・通知された?

 山口氏、FBに「どれだけ厳しい状況におかれても、自分を信じていれば心は晴れる」という趣旨の投稿。

 

(解説)文春記事発売を受けて、山口氏の東京召喚がこの日決定されたことを示唆するものか。ちなみにこの投稿には、今もっともホットな人物、河井あんり氏が激励のコメントをつけている。

 

3月28日(土)山口氏、帰国予定があることを伊藤さんに伝達。

(Y→S)「履歴書ありがとう。ヤボ用で一時帰国することになったけど来週は東京にいますか」

(S→Y)「来週東京にいます。お時間がありましたら是非お会いしたいです」

 

(解説)実は、山口氏は一時帰国の理由を伊藤さんに説明したかどうかについて、主張が変遷しています。この点については長くなるので後ほど「詳細解説」します。

 

3月29日(日)山口氏、ホテルを予約。

(Y→S)「支局スタッフとして雇用するために会社で支援した実績はあるようです。来週後半、空いている夜はある?」(14:26)

 山口氏、 事件舞台となったホテルをオンラインで宿泊予約(4月1日から3泊4日)(14:46)

(S→Y)「空いています。山口さんの都合のいいお日にちを教えてください」

 

(解説)「来週後半空いてる?」と伊藤さんにメールした、そのわずか20分後に「来週後半」のホテルを予約。伊藤さんと同じ部屋に泊まるために予約したと解釈されても仕方ないと思うが、まぁ決めつけはよくないですね・・・。

 

ちなみに、宿泊予約時間の根拠は甲35号証の2ホテルが警察からの照会に応えて提出された文書。閲覧されたのはおおきなことりさん(@qcYPTOotBTbNyS5)です。「・ホテルの予約 20150329 14:46受付 一休ドットコムで予約 一人 予約内容:部屋タイプの指定なし」とのメモを残しておられました。

 

さらに、当該ホテルは

1.シングルルームがない

2.最寄り駅は南北線白金台駅で、山口さんの用務先である赤坂、実家のある恵比寿からも離れている

3.わけもなく一人で泊まるには高級すぎる

このあたりも邪推を招くというものです。

 

3月30日(月)(おそらく)山口氏、一時帰国

(Y→S)「金曜日開けといてもらえますか」

(S→Y)「4月3日、あけておきます」

 

甲46号証・TBS法務・コンプライアンス室長からの回答

https://twitter.com/Akira_5884/status/1274276527807451138によると聴取は31日から3日まで行われているので、おそらく山口氏はこの日ワシントンから東京に移動していると思われる。

 

3月31日(火)TBSで山口氏に対する聴取が開始

(解説)山口氏は、裁判でこの日どこに宿泊したかと問われ「一時帰国を命じられている間、ずっと同じホテルが予約できなかったので2つに分けたんですけれども、最初のホテルがどこだったかちょっと覚えてないです」と答えている

https://twitter.com/Akira_5884/status/1230766785147752449?s=20)。

4月1日(水)山口氏、文春を読むよう伊藤さんに指示

(Y→S)金曜日、7時くらいからになると思います。発売中の週刊文春を読んでおいてね。(16:54)

 (解説)結局伊藤さんは文春を読まずに当日を迎えたのですが、この時点ですでに発売から既に6日たっていますので大抵の書店やコンビニでは既に売り切れになっていたのではないでしょうか。

 

 

(※詳細解説)

 山口氏は一時帰国の理由について伊藤さんに説明したのかどうか、主張が変遷しています。

 

2015年3月28日

メール

ところでヤボ用で一時帰国する事になったんだけど、来週は東京にいますか?」

↑帰国理由を「ヤボ用」とだけ表現。

2017年10月

Hanada手記https://hanada-plus.jp/articles/260

会社の査問を受けるために一時帰国を命じられていたのです。(中略)私が何らかの処分を受ける可能性があるということは、あなたにも伝えていましたね。

 ↑メールでは伝えていません。

2018年9月25日 
被告第4準備書面 https://twitter.com/Akira_5884/status/1191961792118972417?s=20
「(社内処分を受ける可能性等について伊藤さんに伝えなかった理由について)、山口氏本人が解任の可能性を全く想定していない中で、わずか2度しかあったことのない人物に対し、極めてセンシティブな個人情報を開示する謂われなど全くない

↑裁判ではこのように事前に伝えなかったことを認めています。

 

2019年7月8日

本人尋問 https://twitter.com/Akira_5884/status/1230767266351869952?s=20

長々と話していますが、結局のところ、「文春記事の件で聴取を受けるための帰国であること」を事前に伝えたとは主張していません。

 

 以上から、hanada手記にある「私が何らかの処分を受ける可能性があるということは、あなたにも伝えていましたね」という記載は正しくないといえそうです。まぁ記憶違いは誰にでもありますからね

 

 さて、次のエントリでは、事件の起こった4月3日、二人が出会うまでの動きについて、双方のメールおよび、ホテルの解錠記録を前提に、伊藤さん・山口さんの主張の妥当性を見ていきます。