伊藤詩織さん民事訴訟を応援するブログ

伊藤詩織さんの民事訴訟について、裁判資料や報道を元に検証します。伊藤さんを不当に貶める言説に触れてしまった人の心を癒やせる内容になるよう頑張ります。「伊藤詩織さんの民事裁判を支える会」とは関係なくやっておりますので、内容について同会への問い合わせなどはお控えください。

伊藤さんの事件が「妊娠をネタにした恐喝」ではない5つの理由(10/25 追記)

 

ざっくり言うと

 

1.予定通りの時期に通常通りの月経が来ない→妊娠の可能性あり

2.最初の目的は「謝罪の言葉を引き出す」こと。要求は実費程度
3.次の目的は「性行為の言質を得る」こと。
4.伊藤さんは示談を断っている
5.「恐喝」なら、警察への相談を取り下げることを取引材料にするはず

 

伊藤さんのメールは「妊娠の不安を利用した恐喝」ではないかという趣旨のことをいう人達がいますので、このエントリでその点について考察します。

 

まず簡単に経緯を振り返ります。伊藤さんの著書「ブラックボックス」から、関連する出来事を抜き出します。

 

 

4月3日 事件発生

4月4日 緊急避妊薬の処方を受ける

4月15日 捜査員とホテル防犯カメラを確認

4月17日  産婦人科を受診、「妊娠の可能性は低い」と判断される

4月18日「妊娠の不安」に言及するメールを送る

4月23日 法テラスの弁護士に相談

4月28日 被害届および準強姦容疑での告訴状を提出

5月上旬頃 妊娠検査を行う 

 

17日から18日にかけて、「妊娠の可能性は低い」と産婦人科医が判断したにもかかわらず「妊娠の不安」を口にするのはおかしい、というわけです。なるほど一見一理ありそうですが、詳しく見ていきましょう。

 

 

 予定通りの時期にいつも通りの月経がこないのは妊娠リスク

 

4月17日に産婦人科で妊娠の可能性は低いと医師に言われたのだから、その後妊娠のことをメールで触れるのはおかしいと主張する人達がいます。ですが、見出しにあるように「予定通りの時期にいつも通りの月経が訪れない」こと自体が妊娠の可能性を上げる出来事です。緊急避妊薬内服後に性器からの出血が見られた場合、勿論避妊成功の確率は高まりますが、それが消退出血であったと断言することはできません。

 その後も月経発来がなかったのなら、妊娠の可能性を危惧するのは合理的なことです。また、確実に妊娠成立を否定するためには、ある程度時間をおいてから尿検査や超音波検査を行うことが必要です。4月中旬には妊娠の確率は低いと考えたとしても、その後しばらく月経発来が無かった場合、5月上旬に詳細な検査を行うことに何も不思議はありません。

 

 

最初の目的は「山口さんから謝罪の言葉を得る」こと。要求金額は実費程度

伊藤さんの説明では、4月15日にホテルの防犯カメラ画像を確認後、警察は事件性を意識しはじめたとあります。その上で、捜査が本格的に始まる前に、18日のメールに「妊娠」というワードを入れることで、まずは謝罪の言葉を引き出したかったと説明しています。現にメールには「謝罪の言葉がないのはどうかと思います。そして医療費も負担してください」とあり、実費以上の費用は要求していません。

ちなみに、山口さんも「あの夜の事でコストがかかっているなら、それはそれで考えます」などと返信しています。仮に本当に妊娠が成立していたら、山口さんは人工妊娠中絶の同意書にサインをする立場になるのですが、そのような重大性を理解した発言とは思えません。

 

係争を有利に進める為に「山口さんから性行為の言質を得る」目的もある

 

伊藤さんは、23日に法テラスの弁護士から「準強姦の立証のためには性行為が行われたこと、同意がなかったこと」の二つが重要とアドバイスを受けました。その後、伊藤さんが山口さんとのメールで何度も「妊娠の心配」を語ったのは、アドバイスに従って「性行為が行われたことの言質を取る」ためだったのでしょう。実際、山口さんから「精子の運動が低調な病気です」という返信を引き出しており、「避妊具のない性交が行われた」ことを山口氏が認めた形です。実際、メールのやりとりは山口さんから上記の返信が行われた数日後に止まっています。

 

これは伊藤さんが自分で山口氏と直接交渉したことによって得られた大金星であると思います。このようなやりとりは、素人がやると脅迫との境目が曖昧になりやすく代理人弁護士を挟むことが多いのではないかと思いますが、本件で伊藤さんが早期に代理人にやりとりを依頼した場合、当然山口さんも代理人をたてるでしょうから、「精子活動がどうのこうの」などと発言することはなかったはずです。

 

伊藤さんは示談(金銭解決)を断っている


伊藤さんは、著書で後日(2015年夏頃?)山口さん側からの示談を断ったと記載しており、山口さん側も訴訟で示談の申し出を行ったことを認めています。
山口さんは金額を始め詳細を明らかにしていませんが、伊藤さんはこの示談も一顧だにせず断り刑事の手続きを進めており、金銭を目的としていたとは考えづらいです。山口さんが、伊藤さんの強欲さをアピールしたければ、提示した金額を裁判で開示すれば良かったと思うのですが。

 

「恐喝」なら、警察への相談を取り下げることを取引材料にするはず


伊藤さんは4月9日の時点で警察署への相談を行い、28日に被害届を提出しています。伊藤さんが妊娠の不安を表したのは18日のメールからですが、これが恐喝目的であれば、金銭と引き換えに警察への相談を取り下げるという取引を持ちかけるのが普通だと思いますが、伊藤さんは警察への相談を匂わせる内容のメールすら送っていません。

 

 

 

(10/25更新分)

lionclover.hatenablog.com

 

このようなブログを見つけたので手短に解説。

 

「第一の嘘」について

このブログ記載の情報ソースが今ひとつはっきりしないので何とも言い様がないが記載が事実だとすると、、

4月17日に産婦人科受診した時点では4月9日からの出血を避妊成功のサインと考えたが、その後なかなか月経発来が見られないので5月になって改めて妊娠の検査を行ったというだけの話だ。望まない妊娠に対する恐怖心を思えば、当然ありうることだろう。

 

「第二の嘘」について

最初の受診日に全ての診察が終わったのかどうかわからないが、伊藤さんが検査を行って妊娠を否定した後も妊娠が不安だと述べていたとしたら、それは山口氏から謝罪や説明を求めるためのものだろう。仮に性行為自体が同意のものだったとしてもあり得るものだ。このやりとりが「恐喝」にあたるという司法判断が出るとはとても思えない。メールのやりとりを改めて見直すと、山口氏側から妊娠検査を勧めたり、結果を尋ねる様子がないところは奇異に感じる。