伊藤詩織さん民事訴訟を応援するブログ

伊藤詩織さんの民事訴訟について、裁判資料や報道を元に検証します。伊藤さんを不当に貶める言説に触れてしまった人の心を癒やせる内容になるよう頑張ります。「伊藤詩織さんの民事裁判を支える会」とは関係なくやっておりますので、内容について同会への問い合わせなどはお控えください。

伊藤さんの訴えは2時→5時とか強姦致傷がどうのなどと変遷しているのか

 

 

 

 

 親切な方が教えてくれたのだが、最近lisanha123氏が以下のようなツイートをしておられるとのことだ。

 

 

 

 

 伊藤さんの主張は主要部分で何度も変遷する一方、山口氏の主張は一貫して変化がなく、山口氏の方が信頼できる、という主張のようだ。

 

このエントリではlisanha氏の「募集」に応じ、当該図表について、検討を行ってみたいと思う。lisanha氏の期待に添えると良いのだが。

 

 

 

 

まず最初に結論を述べると、

1.伊藤さんが警察で主張した内容は、供述調書が公になっていない以上、推測するしかない。つまりlisanha氏の図表は推測に過ぎない。

2.伊藤氏の主張が変遷しているというlisanha氏の主張は一面的であり、変遷していないという推論も可能である

というところ。ではやっていきましょうか。

 

 

 

 

まず図表の左側、伊藤さんの主張部分から検討していく。伊藤さんの訴えは、2時→5時とか強姦致傷がどうのなどと変遷しているのだろうか。

 

 

 

大前提として、事件後に伊藤さんが警察に訴えた内容=供述調書は公開されていないという事を押さえておくべきである。

 

伊藤さんは、著書ブラックボックスの中で、「起こったことを全てありのままに警察に明した」と主張しているが、これが本当かどうか、実のところ客観的に証明する術はない。その代わり伊藤氏は、一審では当時の捜査員を証人として申請し、主張が一貫していることを証言してもらう予定であったようだ。ただ、裁判所が「それには及ばない」と判断し、判決に至ったという経緯がある。

 

 

従って、lisanha氏の当該図表は氏による推論の産物でしかないということになる。lisanha氏の議論の中で、伊藤さんが被害時刻を午前2時から3時と警察に申告したことになっているのは、当該図表枠外、右上部分の「警察の捜査は一貫して午前2-3時の性行為に関してであるから」というのが根拠のようだが、これはあくまで山口氏が「自分は2-3時のことしか警察で聞かれていないから伊藤さんは2-3時だと話していたはずだ」と主張しているものに過ぎない。なぜ、山口氏の主張したことがそのまま客観的事実となるのか理解に苦しむ。

 

 

告訴状の内容は

 

2015年4月30日に提出された告訴状では、被害時刻について「4月3日午後11:30から4月4日午前05:30頃までの間」となっている。これはおそらく、ホテルの防犯カメラ映像から午後11時20分頃に入室し翌朝午前5時50分頃に退室した事がわかる事、そして伊藤さんがこの間の大半記憶を失っており、被害時刻を確定することができないため、広めに表現したのだろう。なお、伊藤さんが午前5時と言っているのは、あくまで記憶に残っている部分に過ぎず、それ以外の時間帯にも被害があった可能性を排除できないこと(※)にも留意が必要だ。

 

 

またlisanha氏は、告訴状に膝や腰などにできた体の傷のことについて記載がなく、準強姦罪での告訴となっていることから、「伊藤さんは事件当初、山口氏から受けた傷害について申告していなかったのではないか」と推測しているようだ。この点について、伊藤さんの「警察では経験したことを全て話した」という主張が正しいとした場合、以下のような経緯があったのだろうと推測している。

伊藤さんは4月6日に整形外科を受診した。後に発行された診断書に「みぎ膝挫傷」という診断があることから、何らかの外傷の痕が皮膚にのこっていたのだろう。しかし、伊藤さんは、整形外科を受診した際、事件の事を医師に語れずに「受傷は3月30日頃」と申告してしまった。警察としては、これを4月4日の事件時の受傷によるものと主張するのはさすがに筋が悪いと考えた。
また、伊藤さんは4月17日頃に、外陰部などの受傷をチェックするため婦人科を受診した。このときは性的暴行を受けたという申告を医師に行っているのだが、受傷時から時間経過しすぎていることもあり外傷は残っておらず、傷害の確証を得ることはできなかった。
以上のように、医療機関での診断書は上述の通り証拠として用いることができず、自身で残した写真などの証拠もないため、警察は傷害の上乗せを断念、準強姦罪での告訴が妥当と判断した。

 

 

 

また、「デートレイプドラッグ」の使用についても、4月30日に提出された告訴状では言及がない。が、これも採血や尿検査などで証拠が得られているわけでもないことから、アルコールによる酩酊状態に乗じた準強姦があった、というストーリーでの告訴を行うことにしたのだろう。アルコールだろうが睡眠薬だろうが、準強姦罪の構成要件としては問題ないからだ。

 

「ノートパソコンによる盗撮」も同じ事。告訴状が提出された時点では伊藤さんが「撮影されていると感じた」というだけで何ら確証はないのだから、むしろ告訴状で言及する方が不自然である。

 

この場合、残るのは確証がないことを本に書いていいのかという議論だが、現在山口氏による伊藤さんに対する名誉毀損訴訟が進行中であるから、その結果を待っていれば良い。

 

なお、伊藤さんが5月6日に山口さんに送ったメールには、膝などの受傷についての訴えが残っていることが、当該図表では反映されていないことにも留意が必要だろう。

 

以上の仮説は、19年7月の本人尋問で伊藤さんが行った「体の怪我のことも警察に申告したが警察が準強姦罪の告訴とした」という説明とも整合する。

 

 

 

図表のうち、杉田水脈訴訟の部分の「酔って覚えてないので証明できない」というのは、おそらく上述(※)部分のことを言っているのだろう。

 

次に、民事訴訟控訴審の「強姦致傷、DRD、盗撮、全て自分が思ったことが事実ということを摘示した=事実ではないと自白」という部分については、おそらく伊藤さん側が、山口氏側からの名誉毀損での反訴に対して「傷や睡眠薬、撮影については、確証がないということを著書で明記している」と反論した部分を指しているのだろう。

 

以上で、伊藤氏の著書や発言を読み解くことで、主張に特に変遷はないと解釈できることを示した。駆け足で述べたので、なにか不足の点があればコメント欄で指摘してほしい。

 

続く次回のエントリでは、「山口氏の訴えはどのように変遷したのか」について検討する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伊藤詩織さんに対する虚偽告訴罪/名誉毀損罪の告訴が不起訴となった意義とは

ざっくり言うと

 

1.今回の不起訴処分で、「地裁の裁判官がおかしかっただけ」という伊藤さん攻撃派のロジックは破綻

2.今後、彼らはさらなる個人攻撃に走り、尖鋭化・過激化の一途をたどるだろう

3.伊藤さんはリスクをとって被害を告発した点を賞賛されているのであって、不当な優遇は受けていない

 

 

 

 

www.buzzfeed.com

 

Buzzfeedの報道によれば、

元TBS記者の山口敬之さんが、虚偽告訴と名誉毀損の疑いでジャーナリストの伊藤詩織さんを刑事告訴したことについて、警視庁の書類送検を受けていた東京地検は12月25日、伊藤さんを不起訴処分とした。関係者が明らかにした。 

 

とのことである。不起訴という判断そのものは、当ブログの予想どおりだ。山口氏が告訴状でどのような主張をしたのかわからないが、もしも、伊藤さんを起訴に至らしめるような強力なネタを山口氏が掴んでいるのならば、民事訴訟でもとっくに提出しているはずだからだ。

 

 

当エントリの限界

 

バズフィードの記事は「関係者が明らかにした。」とのことで若干モヤっとしたものが残るが、このエントリでは当該報道を事実と仮定して論じていく。また、山口氏が虚偽告訴・名誉毀損の告発においてどのような主張を行ったのかは、buzzfeed記事内で伊藤さんも言うように明らかではないため、今回の不起訴処分がどこまでの意味をもつのかは明言できない部分もある。

また、「嫌疑不十分」と「嫌疑なし」の違いや、「まだ検察審査会がある」などの議論、あるいは虚偽告訴罪名誉毀損罪の構成要件などの話には踏み込まず、「伊藤さんは山口氏を名誉毀損してないし伊藤さんの訴えは虚偽ではなかったと検察が判断した」という(大雑把な)捉え方に基づいた議論を進めていく。

 

 

 

「地裁の裁判官がおかしかっただけ」というロジック

 

 

伊藤さんを執拗に攻撃する人達がよく用いていたロジックは、

 

伊藤氏による、山口氏への準強姦罪での告訴は不起訴となり、検察審査会でも不起訴は妥当だと認められた。これらは我が国の司法当局による正当な判断だった。にも関わらず、民事訴訟では東京地裁は伊藤さん勝訴の判決を書いた。これは、地裁で担当した裁判官がおかしかっただけで、高裁では山口氏勝訴の「正当」な判決が出るはずだ

 

というものだった。しかし、山口氏による伊藤さんへの逆告訴が不起訴処分となったことで、彼らは「地裁の裁判官がおかしかっただけ」というロジックを今後使えなくなってしまった

 

 

本来なら彼らは「地裁の時点では○○という新材料が提出されていなかったから山口さんは負けてしまったが、高裁ではそうはいかない」という主張をしたかっただろう。しかし、彼らが「地裁がおかしかっただけ」と主張せざるをえなかったのは、控訴審で山口氏が行っている新たな主張の中に、訴訟全体をひっくり返すような新材料が全くなかったからだ。

 

山口氏の繰り出した「新材料」は、せいぜいが串焼き店や鮨店の店員による「聴取書」くらいだ。しかし、両店ともに「山口氏の親の代からの行きつけの店」とのことで、中立な第三者とは言えない。したがって、裁判所が彼らの主張を採用するには証人として出廷し、伊藤さん側代理人による尋問を経る必要があるが、彼らの「聴取書」は過去の山口氏の主張と矛盾する点が多く、尋問に耐えられるものではないと思われる。

 

即ち、彼らの「地裁の裁判官がおかしかっただけで、高裁ではそうはいかない。虚偽告訴の訴えも書類送検されたので、今後は起訴されるだろう」という(願望込みの)主張は、苦し紛れの一時しのぎに過ぎなかったのだ。ちなみに、彼らの間ではなぜか「高裁では事実認定を最初からやり直される」ということになっているようなのだが、それもこれも山口氏が新たな材料を何も提示できないことの裏がえしだ。ちなみに当ブログとしては、同じ理由で高裁も伊藤さん勝訴の判断を維持するだろうと予想している。

 

 

「地裁単独異常説」を封印された彼らは、個人攻撃と尖鋭化の隘路へ

 

今回の不起訴によって彼らは「地裁の裁判官がおかしかっただけ」と主張することすらできなくなった。もはや万策尽きた彼らに残された道は、個人攻撃、個人情報晒ししかない。じっさい、不起訴報道後の彼らのツイートは、すでに個人攻撃や個人情報晒しが加速しているようだ。読む限りでは、彼らは裁判資料から得た個人情報を晒して盛り上がっているようで、本当に懲りない人達だと言うほかない。大多数の人びとは彼らの言論に賛同しないだろう。

 

既に、彼らの間では仲間割れ現象、いわゆる内ゲバや暴露合戦が起こっていたのだが、原因は彼らの言論が単なる個人攻撃に偏りすぎ、訴訟リスクを抱えていることを彼ら自身が認識していた事にあったようだ。従って、彼らの言論活動はさらに賛同者を減らしながら過激化・尖鋭化の一途をたどることが予想される。

 

 

伊藤さんは不当に優遇されているのか

 

彼らによる執拗な伊藤さんへの個人攻撃を見てみると、伊藤さんの過去の経歴や伊藤さんの成果物をやり玉にあげつつ「(本当は凡人に過ぎないのに)伊藤さんは不当に優遇されている」という形をとっているものが多いようだ。確かに、伊藤さんは一人の若手映像ジャーナリストとしては、突出したメディア露出を続けているのは事実だ。

 

ただ、これはわざわざ言うまでも無いことだが、伊藤さんが賞賛されているのは、伊藤さんが聖人だからでも、類い希なる天才ジャーナリストだからでもなく、自らリスクをとって(←ここが最も重要)被害を告発し、かつ自分の為だけでなく性犯罪被害者一般のために声を上げ、そして勝利したからだ。この文脈を理解できない彼らからすると、伊藤さんが不当な優遇を受けているように感じられるのだろう。むしろ、彼ら自身が個人攻撃を続ける事実こそが、伊藤さんがTIMEの100人に選ばれた理由を正当化していることにすら気づいていないようだ。

 

 

 

 

というわけで本日はここまで。今年は、日本のどこであっても、医療の供給体制が逼迫したまま年末年始を迎えます。持病のある方もない方も、みなさまどうぞご安全に、ご健康にお過ごしください。

 

 

 

追記1.

www.bengo4.com


弁護士ドットコムも「25日に不起訴」と報じており、東京地検が不起訴の決定を行ったのは間違いないようだ。なお、12月29日18時時点で、山口氏は本件について何のコメントも出していない。「検察の判断は不当だ」とか色々主張されたらよいのにと思う。

 

 

追記2.

youtu.be


弁護士さんによるyoutube解説動画。名誉毀損部分については検察審査会で判断が覆る可能性があるのではないかとの解説。確かに、虚偽告訴部分は相当無理があるので、相対的に名誉毀損部分の方が罪となりやすいだろうことは同意する。

 

伊藤さんは「睡眠薬を用いられた」と主張しているが、それは民事訴訟で認定されておらず、血液や尿からの検出も行われていないからこの部分は名誉毀損に当たる可能性がある、というのがこの弁護士さんの解説だ。

 

しかし、伊藤さんは、睡眠薬については使用を疑うが確証は得られていないと著書で明記しているし、山口氏が薬を使わなかったことが裁判で認定されたわけでもない。また、名誉毀損については山口氏は民事訴訟ですでに1億数千万円を請求する訴訟を起こしたものの、全額棄却されていることについて留意すべきだろう。

 

伊藤さんの著書は、いうまでもなく今回のような名誉毀損での反訴リスクを抱えたものだったが、今のところ伊藤さんは民事でも刑事でも山口氏の反訴を退けることができている。山口氏側に何らかの新材料がなければ、これらの判断が覆ることはないだろう。


追記3.

note.com



伊藤さんも不起訴になった山口さんを告発したのだから、伊藤さんは「不起訴」を軽視していてけしからん、という主張である。伊藤さんは我が国のルールに則って民事訴訟を提起したのであって、「不起訴を軽視」などしていないのだが・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

Japan's Secret Shame 和訳書き起こしの紹介

sblackbox.wordpress.com

 

↑このサイトで、「Japan's secret shame」の和訳書き起こしが行われているので紹介する。

始めに申し上げるが、このエントリでは全ての内容ではなく一部を抜き出して紹介するので「都合のいいキリトリだ」みたいな事を言いたい人はどうぞ、元サイトを参照してほしい。

 

まず、番組冒頭で、彼我の強姦罪認知件数の比較が紹介される。

強姦罪の認知件数」

「英国は人口100万人に対し510人」

「日本は口100万人に対し10人」

 

「日本より英国の方が性犯罪の件数が多いのに、イギリスにそんなこと言われたくない」みたいな反応を示す人が多いのだが、認知件数の比較について番組冒頭でしっかり行われている。

 

 

ナレーター: (訳) 英国におけるレイプの申立ては日本の50倍以上。この数字をもっていかに日本が女性にとって安全な国かと主張する人もいる。しかし活動家によれば、それは女性たちが届け出るのを怖がっているからだと言う。世界で最も進んだ国の一つであるにもかかわらず、日本の強姦法は1907年に遡り、百年以上改正されることはなかった。

 

いわゆる「暗数」問題だけで認知件数の差が説明できるとは筆者も思わないが、単純に英国の方が日本より50倍危険だと言えるかはまた別の問題だろう。

 

その後、山口氏と伊藤氏の出会いから事件までの流れが簡単に解説された後、日本における「レイプ神話」問題が語られる。

 

 

リッチ素子 (ニューヨーク・タイムズ東京支局長): (訳) この国ではレイプとは何かということについて普通でない定義付けがあります。いまだに、見知らぬ人が襲ってきて抵抗して傷つけられたりしない限り犯罪にはならないという感覚。お互い顔見知りの間での出来事であればとうていレイプではないと。そしてお酒を飲んでいたら、それもまたレイプではないと。

 

ナレーター: (訳) 日本の法律によると、強姦を証明するには、強制もしくは脅迫された証拠を示す必要があります

 

後藤弘子 (千葉大学法科大学院教授): 例えば裁判官が期待するようなリアクション、例えば押さえつけたらヤダっていうふうにバタバタするとか、あとはこう一生懸命こう相手を押し返すとか。で、助けを呼ばなければ、それは同意があったんだ…。

ナレーター: (訳) 多くの被害者は襲われた時に恐怖で身体が凍り付いてしまうことは調査で示されている。

後藤弘子 (千葉大学法科大学院教授): あまりにびっくりして助けを呼ぶこともできない。その現実がまったく反映されていないわけです。

 

 英国では強姦罪の司法判断において「レイプ神話」「凍り付き現象」などについて、少なくとも日本よりは考慮が行われているということなのだろう。

 

 

その後、山口氏が伊藤氏を笑いものにする動画をはさみつつ、事件の核心部分が解説された後、「日本の伝統的な男女の役割」についての議論として、以下の解説が行われる。

 

リッチ素子 (ニューヨーク・タイムズ東京支局長): (訳) 男性が女性を物として見ることがOKだという感覚が文化的にもあります。ごく最近になってやっと、コンビニエンスストアで特定のポルノ雑誌が目に入らないように陳列されるようになったのです。家族が牛乳や卵、新聞などを買いに行くお店の棚に陳列されていたわけですよ。中にはレイプの幻想を含んだものもありました。そういったものから性教育を受ける男性もいるわけです。

 

・・・まぁ、西欧や米国だとポルノ雑誌のゾーニングが綺麗に行われているというわけでもないのだが、日本のポルノ雑誌は独特のどぎつさがあるとは感じる。

 

ジェイク・エーデルスタイン (犯罪ジャーナリスト): (訳) 女性は抵抗し男性は強要する。そして女性も気に入ってくれた、というのが日本のエロ本の共通のモチーフなんです。

 

...わかる。この辺は、男性の支配欲との関連があるかもしれませんね。

 

後藤弘子 (千葉大学法科大学院教授): だからNOと言ったら、それはNOなんだっていうそういう考え方が、アメリカでもイギリスでも一般的だと思います。だけど日本だとですね、No means YES。嫌かどうかで自分の意見を表明すること自体が女らしくないと。女性は自分からこうしたいというふうに言うことがいいことではないというふうにずっと小さい時から教えられてきているんだと思うんですね。女性としてあるべき姿ではないと考えられているので。

 

この辺の議論から、「いやよいやよも好きのうち」という言い回しを思い浮かべる人も多いだろう。

 

 

 

また場面が転換し、次は東京の性暴力相談NPOの脆弱な体制について。事件直後に伊藤さんが電話をかけたNPOを訪れる場面。

 

ナレーター: (訳) 詩織さんは東京郊外にあるレイプクライシスセンターに電話した。しかし直接会って面接しないとアドバイスはしてあげられないと電話口での対応を拒否された。

 

ナレーター: (訳) レイプクライシスセンターは、1年に6千件の電話を受けている。しかしそのうち100人ほどしか面接に現れない。 

 

伊藤詩織: 「どういった病院に行っていいのか、その情報だけでもいただけませんか。」っていうお電話をしたんですね。そういったお電話をしたところ、「まず面接に来ていただかなかいと情報提供はできません。」と伺っていて

平川和子: それはごめんなさい、っていうことなんですけれども。あの当時は、一人体制だったっていうこととか、いま二人体制だから、一人が出ておうちの近くまで行って、それからそこでタクシーに乗って病院の方にっていうようなことはしたことはありますけれども。詩織さんから聞かれている質問があるときには現状を答えているので、それも驚いていらっしゃるんだと思うんですが、現状はこうなんですね。貧しい状況ですよね。はい。

伊藤さんの著書では、伊藤さんが被害にあった後に「性暴力相談NPO」に電話をかけて相談するも「直接来所してもらわないと一切相談に応じられない」という対応をされてしまい何ら情報を得られなかった、という描写がある。当該NPOの方がそのことについて伊藤さんに謝罪しているようだ。

 

 

次に、話は伊藤さんが警察で受けた理不尽へと移る。

 

「日本の警察官数 259,500」

「女性警察官の割合 8%」

 

ジェイク・エーデルスタイン (犯罪ジャーナリスト): (訳) 警察官は圧倒的に男性です。このような事件を捜査するのが全員男性だとすると、性的暴力とは何か、性的同意とは何かといったことについて後退的な考えになり、そうなると苦労しますよ。

 

 

伊藤詩織: (訳) 高輪署の最上階は体育館のようになっていて、たしか捜査官が3人いました。全員男性でした。私は床にひかれた柔らかい青いマットレスの上に横たわりました。すると等身大人形を持ってきて私の上に乗せ、それを動かし始めたのです。そしてこんな風でしたか、あんな風でしたか、と訊いては写真を撮っていました。閃光のような記憶に眩暈がして気分が悪くなり、私は起こっていることを考えないように心をシャットダウンしました。

ナレーター: (訳) 人形を使った暴力犯罪の再現は日本の警察が一般的に用いる手法である。活動家は女性に心の痛手を負わせるものだとして批判している。セカンドレイプだとも言われている。

 

 

逮捕状の発行と不執行、書類送検後不起訴となった後、伊藤さんは被害を公表することを決意。

 

伊藤詩織: (訳) 正直に言うと、私の心の一部では、この事件のことは忘れたほうがいいんじゃないかと思ったこともあります。それが女性としての生き方なのかなと。でもそんな風に思う自分が本当に嫌なのです。それは間違っている。だって私は何も悪いことはしていないではないかという気持ちでした。

ナレーター: (訳) この決断をうまくアピールできるよう、詩織さんは自分で調査を行う必要性を感じた。これには実に9ヶ月もかかった。

 

 

テレビ 女性キャスター: 決意の会見に臨んだ28歳の女性。はっきりとした言葉で自身の経験を語った 。

テレビ 女性キャスター: 伊藤詩織さん。望まない性行為をされたとして、なぜ実名で語ったのでしょうか。

伊藤詩織(記者会見): レイプがどれだけ恐ろしく、その後の人生に大きな影響を与えるか、伝えなくてはいけないと思いました。このことは誰にでも起こり得ることです。

伊藤詩織: (訳) できることはすべてやったという感じです。公表に踏み切ったのは、私に残された唯一の選択でした。

伊藤詩織(記者会見): このまま沈黙し、法律や捜査のシステムを変えないのであれば、私たちは皆、この犯罪を許しているのと同じではないでしょうか。

 

湧き上がった激しいバッシング。

 

くつざわ亮治: 自称海外で活動するジャーナリスト、●●詩織さん。2015年4月に強姦されましたーーーというような衝撃の記者会見です。で、まさしく怪しいんだなぁ、これが。とですね、あの性犯罪の被害者が顔出しテレビって異例だって。顔出しテレビ出演って、日本人はね、あの隠したがりますよ。

 

伊藤詩織: (訳) (ウェブサイトに書かれたコメントを見ながら) “Bitch” “彼女はいつも枕営業してるんだよ” “彼女は売春婦に違いない” “韓国へ帰れ”

伊藤詩織: (訳) あぁ、私の家族の写真がある。“特異な目付きの詩織のお父さん。” 彼らは私を、そして家族をターゲットにしている。妹は顔をネット上に晒されるべきじゃない。ここに登録していないのに。妹にこんな辛い思いをさせたくない。誰にもさせたくない。

 

はすみとしこ (レイシスト漫画家) : あの、そういう美しい女性が枕営業を失敗した、という絵を描いたんですけれども、そういう女性の被害に皆さん遭ってはいけませんよっていう意味を込めて。 (ここで大笑いする杉田水脈 自民党衆議院議員)

杉田水脈 (自民党衆議院議員) : 絶句!!!

 

杉田氏はこの映像について「キリトリされたものだ」という主張をしているが、動画全体を見てみるともっとひどいということは別のエントリですでに述べた。

 

greenbox2020.hatenablog.com

 

 

杉田水脈 (自民党衆議院議員) : 彼女の場合は明らかに、女としても落ち度がありますよね? 男性の前でそれだけ飲んで、記憶をなくしてっていうような形で。社会に出て来て、女性として働いているのであれば、それは嫌な人から声をかけられますし、それをきっちり断ったりとかするのもそれもスキルのうちですし。

インタビュアー: (訳) いままで差別やハラスメントを経験したことがありますか?

杉田水脈 (自民党衆議院議員) : はい。それはもう社会に生きていたら山ほどありますよ。ふふふ~(笑)。でもまぁ、それはそういうものかなと思って。

 

国会での追及。

 

柚木道義 (国民民主党衆議院議員) : しかも捜査員が現場まで逮捕に行っているんです。その日にですよ、執行停止命令が出た。有名人、著名人の場合にということで、まさにそういう場合は揉み消されるのかっていうのが一つこの事件の論点で一般の方は許されないと思うんですよ。

警視庁: この事件を経過等を踏まえまして、私共としては追加捜査をするということは考えていないということでございます。

 

政治的な取り上げ方をされるにつれ、伊藤さんの不安が増す。

 

伊藤詩織: (訳) 公表した後、安全でないと感じていました。脅かされるのは私だけではなく、私の家族も友人も。被害妄想と恐怖で本当に怖かったです。権力がある人はやりたい放題。私は… 私は何者でもないんです。

 

ドンキ?で買った盗聴器発見器を使うシーン。たぶんこれは、実際にモノが仕掛けられていたわけではないと思うが。

 

友人: 探吉くん? 探吉くんは屋内に仕掛けられた盗聴機器…

伊藤詩織: カメラもわかるんだ。

伊藤詩織: 何これ。なんか… おもちゃだよ。ほんとにこれで見つかるの?

友人: ちょっと頼みますよ。探吉くん。

伊藤詩織: レベル2、または3の反応があれば要注意です。

 

(ピーピーピーピーピー)

伊藤詩織: やっぱりここが鳴る。2、3 だよ。

友人: ここで?

伊藤詩織: 怖い

友人: 絶対何かあるでしょう。ここは。どうやって壁の中に…。

 

2017年9月、検察審査会が不起訴相当の決定を下した場面に続き、山口氏が乾杯をする場面が流れる。

 

上念司: おめでたく日の目を見られるようになった山口さんのおめでとう会でもございますので、もう一回お願いします。(拍手)

ナレーター: (訳) 山口氏はジャーナリスとして仕事を再開すると発表した。

山口敬之: 知らない方がいたら、ネットなど検索しないでおいていただければ。(笑いを誘う)

リッチ素子 (ニューヨーク・タイムズ東京支局長): (訳) 彼は決して逮捕されることも起訴されることもありませんでした。公正な立場で言うならば、その点を指摘しなければなりません。彼は決して逮捕されることも起訴されることもなかったと。刑事司法制度に関して言えば、彼の事件は存在しないのです。

杉田水脈 (自民党衆議院議員) : 男性の方は悪くないと、犯罪ではないという司法裁判が下っているわけです。そこを疑うってことは日本の司法に対する侮辱だと思います。日本の警察、世界で一番優秀です。伊藤詩織さんがああいう記者会見を行って、ああいう嘘の主張をしたがためにですね、山口さんや山口さんの家族には「死ね」とかって言うような誹謗中傷のメールとか電話とかが殺到したわけですよ。だから私はこういうのは、男性側の方が、私は本当にひどい被害を被っているんじゃないかなというふうに思ってます。

 

次に、話題の「everyone」のシーン。

 

 

ナレーター: (訳) 上告が棄却されて3ヶ月。伊藤詩織さんは性暴力問題に関する活動家になった。

 

ナレーター: (訳) 彼女は東京の上智大学の授業に話し手として招かれた。

伊藤詩織: はじめまして。よろしくお願いいたします。

伊藤詩織: 受けたことってありますか? 「合意」についての教育。

伊藤詩織: (静まり返った教室を見渡して) ない。ただ実は、いまの日本の法律は「合意」というところまでも話は進んでいないですね。

 

性行為の同意、合意ということや、性的な被害に遭ったときや被害を見聞きした時にそのことについて声を上げられるか、というテーマで語ったようだ。

 

 

 

伊藤詩織: 楽しいトピックでもないし、特に日本の社会ってタブーなことだから、すごく聞いてても苦しいと思うし…

伊藤詩織: (訳) 日本社会で育ったなら、誰もが性的暴力や性暴行を受けています。でも誰もがそれがそうだと認識しているわけではありません。特に高校生になって公共交通機関に乗るようになると、毎日のように起こることなので、クラスルームに着くといつも話題はそれです。今日こんな男が私を使って自慰してたとか、私のスカートを掴んだとか。こういったことは私たちが自分で折り合いをつけていかなければならない問題なんです。決して被害届など出さないのです。

女子生徒1: 私は中・高、女子高だったんですね。それで制服もセーラー服でかわいいし、誰かが被害を受けてても自分が受けてても女子高生だし仕方ないよねみたいな。

男子生徒: 修学旅行の時に、女友だちが目の前で痴漢されちゃって、それを男の自分でも見てて「止めてください」っていうのを叫べなかったし、どうにもならないことなんじゃないかって、そういうことをほんとに考えて。

伊藤詩織: 被害を受けた時に、サークルであっても、それを大学の中で、サークルの中で言えますか?

女子生徒2: 自分を否定せずに話を聞いてくれる人を見つけるっていうことがすごく難しいなって思いました。

出口真紀子 (上智大学准教授): (訳) 私が学生に尋ねた質問の1つは、レイプされた人を知っているかという質問でした。クラスの22人の学生が「はい」と答えたのです。 これは単に電車での痴漢行為とかいう問題ではなくレイプなのです。そこで私が疑問に思ったのは、被害を受けた人のうち一体何人が実際に一歩を踏み出して関連機関に相談したのかということです。女性たちはその一歩を踏み出していないのです。この問題はいまだ水面下にあるままだと言えます。

 

というわけで、件の「everyone」発言は、「性暴力被害に遭ったときに、きちんと言い出せる世の中を作る」ための活動を紹介する中で行われたもの。話の力点としては、「被害に遭っても被害だと認識しなかったり、言い出せない女性が多い」という所に置かれている。まぁ遍く全ての女性がそうだということはないだろうから、「不正確だ」という指摘はしようと思えばできるとは思うが、あまり意味のある指摘ではないように思う。それで、意味を持たせようとして「日本人全体に対するヘイトだ」「日本女性を危険にさらす発言だ」みたいな批判を考えついたのだろう。

 

 

  その後、番組は性犯罪被害者の方と伊藤さんが話をするシーン、伊藤さんが内閣府の担当者と話をするシーン、2017年12月の第一回口頭弁論を経て、伊藤さんのこの発言で締めとなる。

 

伊藤詩織: (訳) 変化を感じます。そういったことはすべて人から始めなければならないことなんです。行動を起こせば必ず波が立つでしょう。それは確かです。私は良い意味でも悪い意味でも同時に両方の経験しましたが…  黙っているよりいいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伊藤さん・山口さん控訴審の行方を予想する

 

このエントリでは、2020年11月28日時点の情報に基づいて、控訴審の進行状況について解説します。

 

一審の経緯

 

2017年9月28日 

 伊藤さんから1100万円の損害賠償を求める訴訟を提起

2019年2月 

 山口氏から名誉毀損で反訴 1億3000万円を請求

 請求の根拠として源泉徴収票を証拠提出しているが、閲覧制限のため内容は不詳。

 

2019年12月18日

 一審判決

 被告に330万円の支払いを命じ、被告の訴えは棄却。

 

2020年1月6日  山口氏により控訴

山口氏、この頃一審の代理人を解任。

 

 

2020年2月23日 山口氏、産婦人科医院とのメールを証拠提出

 

産婦人科医院は、性行為の時間を午前2時と伊藤さんが申告したとカルテに記載しており、これは山口氏の主張を支持する内容です。

 

地裁判決では、そのカルテ記載は誤りであると判断されました。「避妊具を用いたが破れた」という明らかに事実と異なる記載があること、伊藤さんが医師に詳細を語るのに抵抗を感じていた可能性もあることなどから、「不正確な記述が行われた疑念を払拭できない」とされました。

 

山口氏はこのカルテ記載を自身の主張(伊藤さんとの性行為は午前2時頃で、その頃伊藤さんはしっかりと意識があった)の根拠としていたので、控訴審では産婦人科医院の医師を証人として申請しています。

 

 

 

 

2020年2月25日 山口氏、控訴理由書提出

 

目次を読むと、山口氏側が事件のほぼ全てにわたって主張のやり直しをしている様子が伝わります。

 

 

2020年3月19日 山口氏、串焼き屋・鮨店の聴取書を提出

 

山口氏は、両店舗からの「聴取書」を証拠として提出。

山口氏に有利な点として、「伊藤さんが串焼き屋で山口さんに身体を寄せていた」「伊藤さんが鮨屋でトイレから出てきてから、山口さんは帰りたそうにしていたこと」 という証言があること。

 

 

しかし、この聴取書には、問題点がけっこうあります。

 

1.両店ともに「山口氏の親の代からの行きつけの店」とのことで中立とは言いづらい

2.そのため、裁判所が主張を容れるためには証人とて法廷に立つ事が求められる

3.山口氏の主張と相反する部分が散見される

4.一審でも提出できたはずなのになぜ今提出したのか

 

以上の理由から、裁判所がこの書面を重要視することはあまりないように思います。

 

 

2020年4月15日 伊藤さん側、控訴答弁書を提出

twitter.com

伊藤さん側も、山口さんの主張に全体にわたって反論を展開しています。

 

 

 

2020年6月28日 山口氏、陳述書を提出

 

lisanha1234.hatenablog.com

 

山口氏、あらたな「陳述書」を提出。小林氏が指摘するように、一審での主張や、控訴理由書と矛盾する主張が一部に見られます。最大の変更点として、性行為にいたる直前部分の描写として、一審では「なだめるような気持ちで性行為に応じた」としていたのですが、「伊藤さんが積極的に身体に触れてきたため」と主張を転換。これまでその主張をしなかった理由として「未婚女性である伊藤さんに配慮したため」としているが・・・。

 

 

 

2020年7月10日 伊藤氏により、さらなる損害賠償を求めた付帯控訴を提起

 伊藤さん側も、控訴審で損害賠償額の上積みを図るようです。添付画像を読むと、伊藤さんが被った精神的負荷をもっと考慮に入れるべきだ、というのが主張の骨子のよう。

 

www.buzzfeed.com

伊藤さん側の村田弁護士は、当日にあった支援者らへの報告集会で「330万円という金額は、私は低いかなと率直に思います」と言った。「しかし」と続ける。

今の日本の裁判の相場では、決して低いわけではない金額です。日本の裁判の慰謝料の相場が低いという問題はあるんですが、逆に言うと日本の裁判所から見て相当だと思われる慰謝料はしっかり取れた」

300万円の慰謝料の10%が弁護士費用として認められる。そのため、合わせて330万円になった。これも「通常のこと」だという。

「だから、330万円という金額は、決して高い金額ではないけれど、恥ずかしい金額ではない。立派な金額だと思っています」

 

 

伊藤さん側の弁護士は、地裁で認められた330万という慰謝料について、地裁判決後の報告集会で、「そもそもの相場が低いという問題はあるが、その中では十分な額だ」という評価をしていたようです。付帯控訴を行うことで、その「相場」をアップさせたいという意図があるのでしょう。
 
 
 

2020年8月15日 山口氏、酩酊度合いに関する医師意見書を提出

 
 伊藤さんが午前2時ころに酩酊から覚めていた可能性はあるという内容です。最大の問題点は、山口氏が一審で主張していた伊藤さんの飲酒量(ビール2本、ワイン4-5杯、日本酒6-7合)が、この意見書では大幅に減少していること(ビール2杯、ワイン2杯、日本酒2合以上)。
 当初、当ブログでは当該意見書の医学的妥当性について検討する予定でしたが、前提となる飲酒量がこんなに変わってしまっては、医学的妥当性を語るまでもありません。裁判所も同様の判断を下すでしょう。
 

 

 なぜ山口氏は控訴審で伊藤さんの飲酒量を引き下げているのか

もともと、山口氏が一審で大量飲酒説を唱えていたのは、「レイプドラッグ使用」を打ち消すのが目的だったのでしょう。「伊藤さんはこんなに大量に飲酒したのだから酔っ払ったのであって、私はヅラッグなど使っていない」ということです。しかし、伊藤さん側は、一審でドラッグ使用については殆ど主張せず、地裁判決はドラッグ使用については認定しませんでした。また、判決では「伊藤さんが午前2時に酩酊から覚醒したとは考えづらい」という判断もなされました。

 
従って、控訴審においては、山口氏としてはドラッグ使用はもはや争点にならない上、伊藤さんが午前2時に覚醒していたと主張するためには飲酒量が少ない方が都合がよいのです。事実ではなく、法廷戦術に則って飲酒量の主張を変えているというのがバレバレです。こんなことは裁判所もとっくにお見通しでしょう。
 
 
 

2020年9月7日  第1回弁論準備手続

 今後の訴訟の進行について、原告側、被告側、裁判所側で話し合いがもたれたもの。内容は以下のツイートで報告されています。

 

裁判官から原告・被告双方に対してそれぞれの主張を整理することを求めています。また、山口氏側の代理人は、「午前2時頃の行為を前提として主張」とありますから、つまり地裁判決をまるっと覆したいということのようです。

 

 

2020年9月25日 小林vs山口訴訟 口頭弁論

note.com

 

 

このブログによれば、小林よしのり氏vs山口敬之氏の訴訟で、山口氏側代理人が伊藤氏との訴訟の進行について以下のように発言したといいます。

 

大西弁護士(引用者注:山口氏代理人):不法行為の内容の特定から高裁の方から訴訟指揮がされている。請求原因の事実レベルの特定からやり直すという進行になっている。 

 

 

よしりん側:控訴審については、A女さん(引用者注:伊藤詩織さんのこと)側にはお話聞いていまして、争点整理されてるとは聞いていますが、不法行為のやり直しをするとのニュアンスは聞いていませんで、不法行為の内容をもう少し特定すると方向だと...裁判所から話を受けて... (聞き取れず)

 

大西弁護士:期間的には〜中略、通常の高裁の審理よりはだいぶ、時間をとって進めると、裁判体(2)から双方に伝えられています。

控訴審の方では、当方は同じ原告から新たな証人尋問等の申請もしていて、それの採否についても争点整理の結果を踏まえて判断する。

 

上記、いずれも強調は引用者によります。上田24氏の報告では、山口氏代理人曰く伊藤さんvs山口さんの訴訟の控訴審では「不法行為の内容の特定のやり直しをする」 という方針になっているそうです。また、新たな証人尋問の申請もしているとのこと。一方、伊藤さん側代理人は「不法行為の内容についてさらに特定する」方針であるとのこと。

 

山口氏の代理人が語った内容は、9月7日の弁論準備手続を受けてのものでしょうが、先ほど取りあげた、小林章さんがアップした資料からは、山口氏の代理人が「やり直しをしたい」と考えているのは読み取れますが、裁判所がそれを受けれているかどうかはわかりません。

 

山口氏を応援する立場の人達は、↓のように大変盛り上がっているようですが、まずはもう少し落ち着いて推移を見守るのがよいでしょう。

 

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2020年11月12日 第2回弁論準備手続

 

 

 さて、小林さんが閲覧してこられたのでご報告。かなりあっさりとした記載です。山口氏側に対して、伊藤さん側からの書面(おそらく、慰謝料増額要求?)に対する反論を準備するよう求めています。また、山口氏側が行ったという証人申請などについても特段記載がないようです。

 

 

 

次の期日は1月25日、再度弁論準備手続とのことです。何か動きがあり次第、また報告のエントリをアップします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伊藤氏・山口氏 訴訟進行表

伊藤氏

VS山口氏 刑事事件

2015年4月30日 準強姦罪刑事告訴

2015年8月26日 書類送検

2016年7月22日   嫌疑不十分で不起訴

2017年5月29日 検察審査会に申立

2017年9月21日 不起訴相当議決

VS山口氏 損害賠償請求事件

2017年9月28日  伊藤さんから1100万円の損害賠償を求める訴訟を提起

2019年2月 山口氏から名誉毀損で反訴

2019年12月18日 一審判決 勝訴 被告に330万円の支払いを命じ、山口氏の訴えは棄却

2020年1月6日  山口氏により控訴

2020年7月10日 伊藤氏により付帯控訴

2020年9月7日  第1回弁論準備手続

 

2020年11月12日 第2回弁論準備手続

2021年1月25日  第3回弁論準備手続

 

現在、東京高裁で審理が進められている。

 

 

 

VS蓮見都志子ほか2名 損害賠償等請求事件

2020年6月8日 名誉毀損にあたるとして蓮見氏に550万円の損害賠償を求める

2020年10月18日 はすみ氏Twitterアカウント凍結

2020年11月17日 第1回口頭弁論

www.huffingtonpost.jp

 

2021年1月13日 弁論準備手続

 

greenbox2020.hatenablog.com

VS杉田水脈氏 損害賠償請求事件

2020年8月20日 名誉感情侵害にあたるとして220万円の損害賠償を求める訴訟を提起

2020年10月21日 第1回口頭弁論

2020年11月18日→25日    弁論準備手続


 

 

 

 

 

VS大澤昇平氏

2020年8月20日 慰謝料など110万円を求め訴訟を提起。

2020年11月2日 第一回口頭弁論

 伊藤詩織さんを「偽名」とツイート、元東大特任准教授の大澤昇平さんの裁判始まる | ハフポスト

 2020年12月18日 弁論準備手続

 

 

 

山口氏

VS伊藤氏

2019年5月 伊藤さんを虚偽告訴・名誉毀損の罪で刑事告発

2020年9月 取り調べがあったと伊藤さんがFBで報告

2020年9月28日 書類送検

 

 

 

VS修理会社 請負代金等請求事件

2018年頃?  アストンマーチン修理会社が山口氏さんを提訴

2020年8月4日 一審判決 山口氏敗訴、修理代支払いを命じる

 

greenbox2020.hatenablog.com

 

VS小学館小林よしのり 謝罪広告等請求事件

2019年1月24日 山口氏、小林よしのり氏・小学館名誉毀損

2020年9月25日 第10回口頭弁論

よしりん裁判傍聴記③原告/控訴審で争点整理を事実認定のレベルからやり直す! 被告/伊藤詩織さんから、き、聞いてないよ...|上田24|note

2020年12月8日  弁論準備手続?

 

VS新潮社 謝罪広告等請求事件

8月14日  第1回口頭弁論

10月20日 第2回口頭弁論

12月15日 弁論準備手続?

 

 

greenbox2020.hatenablog.com

 

伊藤詩織さんを執拗に中傷する人たちは、なぜトランプの不正選挙説に同調してしまうのか

 

 

ざっくり言うと

1.極めて偏った情報源しか参照していないから

2.安倍政権が中道化した物足りなさをトランプで埋めてきたから

 


米国大統領選は民主党バイデン氏の勝利で決まったが、敗北したトランプ氏が不正選挙説を唱えて回っている。

 

 

FOXニュースなどの「親トランプ」メディアにすら不正選挙説を否定する報道が見られる。不正選挙説をリードしているのは、Epoch Times(法輪功)やワシントンタイムズ(統一教会)、あるいは幸福の科学など宗教系の情報ソース、他にはブライトバートなどのソッチ系が多いようだ。日本でも、産経どころか虎ノ門ニュースすら不正選挙説には積極的には乗っていないし、Libertyや保守速報、文化人放送局などのさらに振り切れた人たちだけがトランプの勝利を信じているようだ。

 

 

 

トランプ大統領はFOXニュースに対して怒り心頭で、新しいメディアを立ち上げる計画もあるらしいが、共和党支持者の間でもトランプ氏を応援する勢力は一部にとどまっているという。

 

 

 

世の中には色んな考え方がある。共和党なりトランプ氏なりを支持することは何の問題も無い。バイデン氏が日本にとって良い大統領かもわからない。しかし、選挙で負けた現職大統領の側が、大した根拠も示さないままに不正選挙を叫ぶのを支持できない、というのが私の考えだ。

 

 

 

 

 

 そんな中、伊藤詩織さんへの中傷を繰り返すTwitterアカウントのTLを覗いてみると、高確率でトランプ氏の唱える不正選挙説に同調していることに気づいた。これはどう説明されるのだろう?

 

 

 

 現在、伊藤さんをディスるような情報を積極的に載せる日本のメディアはほぼ存在しない。産経新聞や正論すら、山口氏を擁護する論陣を張っていない。上念司氏やKazuya氏などのウヨ系インフルエンサーも、山口氏を表立って擁護することはできない状況だ。以前は積極的に山口氏側に立った言論を行っていた杉田水脈氏や足立康史氏らすら、判決後は口を閉ざしている状態である。これは、トランプ不正選挙説にまつわるメディア状況と酷似している。

きっと彼らは、文化人放送局や「保守系まとめサイト、橋本琴絵氏あたりを主要な情報源にしているのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

そもそも日本の保守派はなぜこんなにトランプ推しなのか。この記事によれば、櫻井よしこ氏は16年の大統領選挙前はヒラリー推しだったという。トランプ氏は当初「アメリカファースト」を掲げ、在日米軍撤退、日本の核武装容認説まで飛び出したほどであったから、これは当然のことだ。その後、2017年2月に安倍首相がトランプ氏の別荘でゴルフをプレーして以来、本邦保守派のトランプ傾倒が始まったと解説している。

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/furuyatsunehira/20201116-00208080/

 

ちなみに、2017年1月に発売された山口敬之氏の著書「暗闘」は激しくトランプ推しであった。さすが、安倍首相に最も近いジャーナリストである。

 

 

 

 

 

第二次安倍政権を振り返ってみると、前半の2016年までは安保法制や特定秘密保護法などの保守派寄りの政策が目立ったが、その後は憲法改正を視野に入れての事か、「働き方改革」「オリンピック」が目玉政策となった。熱心な保守派には物足りなかったことだろう。他にも、中国の一帯一路構想に賛意を示し、香港の問題についても厳しい反応を示さない日本政府の対応に物足りなさを感じた保守派は多かっただろう。

 

 

そんな折り、トランプは中国に厳しい発言を繰り返し、新型コロナウイルスの事を「China virus」などと呼び、tiktokやファーウェイに厳しい態度をとった。本邦保守派は、安倍首相に感じた物足りなさをトランプ氏で埋めたのではないか。日本のトランプ信奉者たちが「バイデンは中国の操り人形」みたいな話を好むのも、トランプ愛の裏返しなのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山口氏はなぜ避妊なし性行為を認めてしまったのか

ざっくり言うと、「飲み会の最中で気が大きくなってしまったから」ではないかと思う。山口氏が性行為を明確に認めてしまったメールのやり取りは以下。

 

 

 

(S→Y)逃げも隠れもしない、返信しているといいますが、そんな返信ばかりで、私のここ数日の肝心な返答はなく(原文ママ)、私の不安は取り除かれず自身の保身にしか感じません。妊娠の可能性がないと以前断言していましたが、どういうことですか?何度も出来ること、出来ることと繰り返していますが、あなたのできることは一体なんですか?
2015-5-8 19:06

 

 

返って来てない肝心な返答があれば、指摘して下さい。すぐ返信します。  2015-5-8 21:37

 

妊娠の可能性がないと以前断言していましたが、なぜですか?

2015-5-8 22:57

 

私はそういう病気なんです。
 2015-5-8 23:05

 

何の病気ですか?私の健康に関わることなので詳しく教えてください。
2015-5-8 23:09

 

精子の活動が著しく低調だという病気です。
 2015-5-8 23:12

 

そうですか。精子が弱い=避妊なし性行為という正当化をされているように聞こえます。息子さんがいらっしゃったはずですが?
2015-5-8 23:19

 

 

 

 

 

このように、あっさりと事実を認めた山口氏。実はこの頃、山口氏はとある酒宴の主役であった。

megalodon.jp

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 この酒宴は文春記事の件で「左遷」となった山口氏を励ますという趣旨で開かれたもので、山口氏以外の出席者は伊藤さんの件など知る由もない。山口氏は気分を良くしたのか、伊藤さんからのメールに、前述のように答え、性行為があったことを認めたのだった。

 なお、この酒席に同席していた小川榮太郞氏は、のちにhanadaで山口氏を擁護する論陣を張り、5月上旬ころの伊藤さんと山口さんのメールのやりとりについても解説しているのだが、この酒席のことについて言及していない。

性被害者を侮辱した「伊藤詩織」の正体 【後編】|小川榮太郎 | Hanadaプラス

少し前まで、参加者の皆さんはFBに写真をアップしていたのだが、どうやら皆さん削除されたご様子だ。

 

 

 

なおこの会合は、4月末には参加者への招待が行われているようだ。

当然、主役である山口氏は出席予定を組んでいただろう。山口氏は、5月4日まで伊豆におり5日には帰国したと伊藤氏に説明しているのだが、はたして本当なのだろうか。

 

 

 

山口氏が「励ます会」の日の午前中に送ったメールはこのような内容だ。

私はあなたの直面する困難を解決するため、出来る事はなんでもするつもりです。一度お目にかかった方がいいと思っており、その為に直近で一時帰国することも考えています。その旨メールしましたが、反応をいただけていません。日程を調整して航空便を押さえて日本を往復するには、アレンジに多少時間がかかります。時間が経てば経つほど一時帰国の時期も遅れますので、早めにご連絡下さい。繰り返しになりますが、私は逃げも隠れもしませんし、私の出来る事はなんでもします。

このメールを書いた数時間後に、日本で飲み会、、

 

 

 さて、「励ます会」は深夜までつづいたようだ。帰宅した有本氏はこのようなツイートを行っている。

 

山口氏も会を十分に楽しんだ後、伊藤さんにメールを送っている。

私は前向きな姿勢で問題解決に向かいたいと考え、あなたの質問にも答えていますが、あなたが違う立場と方針でいるなら、こうしたやり取りは不毛ですね。残念です。   

 2015-5-9 4:20

 

 

いくら飲み会で気が大きくなったとは言えさすがに山口氏は脇が甘すぎではないかと感じた読者もいるだろう。実は、もっと彼の気を緩ませるような事情があったのではないかと筆者は考えているのだが、今のところ確証がないためそれについては記さないでおく。