伊藤詩織さん民事訴訟を応援するブログ

伊藤詩織さんの民事訴訟について、裁判資料や報道を元に検証します。伊藤さんを不当に貶める言説に触れてしまった人の心を癒やせる内容になるよう頑張ります。「伊藤詩織さんの民事裁判を支える会」とは関係なくやっておりますので、内容について同会への問い合わせなどはお控えください。

2015年6月8日 逮捕状不執行の日のこと

note.com

 

こんな細かいことを論じるエントリは誰も読まないだろうと思ったら、一部の方の好奇心を呼び起こし様々なご批評を頂いている様子なので、様々に追記を加えてみた。(20/10/6)

 

逮捕状不執行の日

 

伊藤さんの本は、伊藤さんや編集者の問題なのか、あるいは色々なものに配慮した結果なのかはわからないが、記載がわかりづらい部分が散見される。とりわけ山口氏逮捕見送りのくだりは、時間軸に沿った記載ではない部分や、虚々実々が織り混ざった状態で、正確に理解しようとするとけっこう大変である。上田24氏が混乱するのも当然である。これは皮肉でもなんでもなく、かくいう私も当初、うまく意味がとれず混乱したものだ。

 

私なりに上田氏の指摘に応えると、以下のようになる。

1.逮捕状不執行が決まった時点で、すくなくとも捜査員A氏は、成田空港に向かってはいなかった。別の署員が待ち構えている状態だったのかは不詳。

2.捜査員A氏は伊藤さんには「自分も成田に行く」と告げたが実際には行ってないのでは。伊藤さんへの申し訳なさからそのように発言してしまった?

3.上田氏が取りあげた望月記者の記事は記載が不正確。

 

なお、以前一部でホットな話題になった「西日を浴びながら電話を受けた」のは、捜査員A氏からの最初の電話ではないと思われる。

 

 

 

では実際どうだったかというと、、、以下に私の推測を記す。おそらく、電話は1回だけでなく、以下の2-3回程度あったのではないか。参考までに、日本とベルリンの時差は日本が7時間進んでいる。

ドイツ / ベルリンの時差と現在時刻 - Time-j.net

 

A.飛行機が成田に到着する前 日本時間 8日昼ころ ベルリン 8日 早朝

逮捕予定の当日に、A氏から連絡が来た。もちろん逮捕の連絡だろうと思い、電話に出ると、A氏はとても暗い声で私の名前を呼んだ。「伊藤さん、実は、逮捕できませんでした。逮捕の準備はできておりました。私も行く気でした、しかし、その寸前で待ったがかかりました。私の力不足で、本当にごめんなさい。

伊藤さんの著書は、逮捕不執行についてこのような説明から始まっている。ここで「私も行く気でした」とあるから、この時点でA氏は高輪署、もしくは成田に向かう車中であったと思われる。

 

B.飛行機が成田に到着した後 日本時間8日 16時以降 ベルリン8日 昼ころ

伊藤さんの著書には、「それでもA氏は、自分の目で山口氏を確認しようと、目の前を通過するところを見届けたという」と、過去形での記載もあるので、飛行機の到着後にも電話のやりとりがあったと解釈するのが妥当である。

 

当時のワシントン→成田(NH1便)の成田到着時刻は日本時間の15時25分。

成田(東京) - ダレス(ワシントンDC) 2015年06月時刻表 | FlyTeam(フライチーム)

 

なお、上田24氏も指摘する以下の理由から、捜査員A氏は実際には成田空港に到着していないと思う。伊藤さんへの申し訳なさのあまり、そう説明してしまったのではないかと私は考えている。

成田に臨場する前に逮捕の中止を告げられていたら、捜査員は成田に行かない。上司への命令違反になります。(上田24氏の上記エントリから引用)

 

 

なお、このAまたはBの電話の直後であれば、検察庁の営業(?)時間なので伊藤さん側から日本の検察庁に電話をかければつながるだろう。伊藤さんの著書には、捜査員A氏との会話で担当検事の名前や所属を聞いていた場面があるので取り次ぎを依頼するところまでは可能だ。

 

C.ベルリンで西日がキツイ頃  日本時間深夜 ベルリン 日没前(18-20時頃?)

伊藤詩織新連載スタート! 元炭鉱の町、夕張に生きる人びとが私に教えてくれたこと | 連載コラム | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス

 

この記事に、

2015年6月8日、私はベルリンの友人宅にいた。突然鳴った電話は+81番という国番号だったため日本からだと、ひと目でわかった。その日がどういう日か心得ていたので、直ぐに路地に飛び出て、西日を背中に感じながら電話に出た。 (imidas記事より引用)

とあるのだから、6月8日の日没前にも電話がかかってきたのだろう。

ドイツ ベルリン日の出日の入り時間

ベルリンは高緯度だからなのか、6月の日の入り時刻は午後9時とかなり遅い。伊藤さんが著書で西日の事を強調しているのは読者向けにドラマチックな効果を演出したかったからだ、という趣旨の推理をしている人達がいるのだが、大半の日本人読者は6月のベルリンの日の入り時刻や西日の強さなど知らないので、そんなことを演出する強調する必要はないように感じる。単純に、本人の中で西日が印象に残っていたからそのように書いただけだろう。

 

 

電話の向こうで、捜査員はただひたすら私に謝った。逮捕をするべく、空港でその人を待っていたときに警視庁のトップからストップがかかったという。そんなことがあるはずはない、と信じたかったけれど、捜査員が嘘をつく理由はなかった。(imidas記事より引用)

 

imidasの記事ではこのときの電話が初報であるかのような表現になっているが、電話の内容は「空港で待っていた時にストップがかかった」と過去形で語られているので、おそらくこれは同日2回目以降の電話だと思われる。

 

こんなことで腹を立てるのは、かなり細かく伊藤氏の言動をウォッチしている人くらいで、一般の読者にとってはわりとどうでもよいことだろう。実のところ私も困惑を覚えたのは事実であるが。このときの電話の内容は、例えば捜査員A氏が一通りの引き継ぎを終えた後、新しい担当者の連絡先などを伝えるものだったのかもしれない。

 

以上のように解釈すると、時差や日の入り時刻、ワシントンー成田便の到着時刻などの件が説明可能になる。勿論、ご本人に確認したわけではないのでこの推論が正しいかは保証できない。例えばBの電話は存在せずAとCだけだった、などの可能性はあるだろうが。

 

 

(追記)

 

 

 

このようなご意見を頂いたのだが、私としてはすでに説明済みだと思うので特に反論はしない。