伊藤詩織さん民事訴訟を応援するブログ

伊藤詩織さんの民事訴訟について、裁判資料や報道を元に検証します。伊藤さんを不当に貶める言説に触れてしまった人の心を癒やせる内容になるよう頑張ります。「伊藤詩織さんの民事裁判を支える会」とは関係なくやっておりますので、内容について同会への問い合わせなどはお控えください。

朝5時の出来事、ブラウスの素材を記憶する山口氏

 

伊藤さんの語る「朝5時の出来事」について見ていきます。山口氏側からは伊藤氏の主張は全くのでっちあげであるとされていますが、ここでは、伊藤さんの訴えはでっちあげではないという観点から、伊藤さんの著書BlackBoxから該当部分を引用・考察していきます。

 

 

 

「パンツくらいお土産にさせてよ」

伊藤さんの抵抗の後、山口氏からは

「君のことが本当に好きになっちゃった」

「早くワシントンに連れて行きたい。君は合格だよ」

「これから1時間か2時間後に空港に行かなければならない。そこへ行くまでに大きな薬局があるので、ピルを買ってあげる。一緒にシャワーを浴びていこう」

「パンツくらいお土産にさせてよ」

「今まで出来る女みたいだったのに、今は困った子どもみたいで可愛いね」

などの発言があったとのこと。これらの発言は、山口氏をナチュラルにセクハラをしてしまう認知の歪みをもった人物として描いています。でっち上げをするならば、こんな複雑な人物像を演出するよりは、単純に暴力的な人物に描写するのが普通であろうと感じます。

なお、山口氏は、このうち「君は不合格ではないよ」という趣旨の発言をしたことは認めています。

 

反射的にTシャツを身につけた

 ようやく見つけたブラウスは、なぜかびしょ濡れだった。なぜ濡れているのか聞くと、山口氏は「これを着て」とTシャツを差し出した。他に着るものがなく、反射的にそれを身につけた。

伊藤さんがでっちあげをするのなら、山口氏のTシャツを着たことはなかったことにするでしょう。実際、山口氏はhanada手記(2017年10月26日発売)で以下のように反論しています。

 

しかし、もしあなたが朝の段階で私にレイプされたと思っていたのであれば、絶対にしないはずの行動をし、絶対にしたはずの行動をしていない。

まず、絶対にしないはずの行動について説明しましょう。
 
朝起きてトイレから戻ってきたあなたは、浴室に干されていたブラウスを手に、「ブラウスが少し生乾きなんだけど、Tシャツみたいなものをお借りできませんか」
 
あなたのブラウスは化繊の薄手のもので、朝までに相当程度乾いていたため、濡れて着用できない状況ではないように見えました。

しかし、私としては別に断る理由もなかったので、パッキング途中のスーツケースを指し、「そのなかの、好きなものを選んで着ていっていいですよ」と言いましたね。

あなたはスーツケースから、私のTシャツのうちの1つを選び、その場で素肌に身に着けました。覚えていないとは言わせません。

レイプの被害に遭ったと思っている女性が、まさにレイプされた翌朝、レイプ犯のTシャツを地肌に進んで身に着けるようなことがあるのでしょうか?
 
(中略)

結局、私はそのTシャツを未だに返してもらっていません。そのTシャツの存在を認めると、自分の主張の辻褄が合わなくなるからですか?(強調は引用者による)

ブラウスの濡れ具合を始め細部で違いはあります(後述します)が、山口氏のTシャツを着て帰ったことは伊藤さんも認めています。伊藤さんがTシャツを着て帰ったことを示す客観的な証拠は他に何もありませんから、Tシャツのことを省略することもできたはずです。例えば、ホテル退出時の動画を見ても、コートを着て歩く姿が映っており、その下に何を着ているかは全く判別がつかないでしょう。

 

ブラウスの素材まで記憶している山口氏

山口氏は、「レイプの被害に遭ったと思っている女性が、まさにレイプされた翌朝、レイプ犯のTシャツを地肌に進んで身に着けるようなことがあるのでしょうか」と述べています。これは確かに一理ある主張です。

 

伊藤氏の立場からは、「ブラウスはなぜかびしょ濡れだった」のですから、「途中で帰れなくしたり、帰るまでの時間を遅らせたり、着衣を貸したことを後日同意の証拠と主張するためにわざとブラウスを濡らした」と主張することになるでしょう。そのような工作を織り混ぜている点からは常習性も疑われます。

→「途中で帰れなくするためならスラックスを濡らすはずだ」というご指摘を頂きました。ごもっともです。スラックスをびしょ濡れにすると本当に家に帰れなくなってしまいますが、ブラウスならシャツを貸すなどの対応をすれば、帰るまでの時間を遅らせる程度の効果が期待されます。(20/9/23 更新)

 

 

なお私としては、山口氏はhanadaで

あなたのブラウスは化繊の薄手のもので、朝までに相当程度乾いていたため、濡れて着用できない状況ではないように見えました。

 と、ブラウスの乾き具合だけでなく素材まで認識していたことは奇妙に感じます。伊藤さんのブラウスを脱がせた後に、洗濯表示タグまで確認したのでしょうか。並みの気配り力ではありません。そもそも、ブラウスは丸ごと水洗いしたわけではなく、ついた吐物をタオルで拭った程度なので、「生乾き」どころかそもそも殆ど濡れていないはずなのですが、山口氏がブラウスを濡らすときに、用意周到に素材まで確認したものではないかとつい勘繰ってしまいました。勿論、山口氏が常日頃から洗濯をマメにする人なだけかもしれませんが、山口氏は本件では「シェラトンホテルの前に泊まった宿、自宅待機処分を命じられた日付、ホテル代が自腹だったか、会食の場でビザ支援は難しいと伝えた時の伊藤さんの反応」等など色んなことを「忘れた」のに「ブラウスの素材」を覚えているというのは、よっぽど印象に残ったということなのでしょう。

→普段から洗濯をしていれば服の素材にはすぐ気づくはず、というご指摘を頂きました。勿論その可能性はあります。ただ、服を洗う段になって気配りをするくらいなら、伊藤さんが一人で大酒かっくらってる段階で止めてあげればよかったのにと思いましたが・・・この辺は確たる証拠に基づく議論ができないので、どこまでいっても印象論にしかなりません(20/9/23更新)