伊藤詩織さん民事訴訟を応援するブログ

伊藤詩織さんの民事訴訟について、裁判資料や報道を元に検証します。伊藤さんを不当に貶める言説に触れてしまった人の心を癒やせる内容になるよう頑張ります。「伊藤詩織さんの民事裁判を支える会」とは関係なくやっておりますので、内容について同会への問い合わせなどはお控えください。

わたしと伊藤さん事件

 

 このエントリでは、私が伊藤さんの事件をどのように知って、どのように感じたかを、可能な限り当時の記憶を思い出しながら記述します。なお、本エントリは、初期にはこんなことを考えていましたという記録みたいなもので、今とは違う見解も多数含まれていますのであしからずご了承ください。
 

2017年5月29日 伊藤さん実名記者会見

このときはニュース動画を見ただけで詳細には入り込んでいなかった。感想は以下の通り。
 
 
1.美人局の可能性

事案の性質上、美人局疑惑は必ず指摘されるだろう。その可能性がないと言い切る材料もないいずれにせよ事態の推移を見守るしかない。

2.ファーストネームのみ公開

実名公表での告発とのことだが、「詩織」さんと苗字は伏せられている。おそらく、本人は公表を望んだが家族が反対したので、このような形をとったのだろう。

3.ご本人にウヨサヨ属性はなさそうだが、ウヨ側から大量のバッシングを食らうだろう

会見での伊藤さんの語調・語彙にはアジ演説臭が皆無で、ネットスラング的なものにも汚染されていない。伊藤さん自身には政治的な立場はあまりなさそう。しかし「加害者」は安倍政権に近いジャーナリストという事案の性質に加え、「共謀罪より刑法改正議論を」的な発言をしてしまった。民進党(当時)が接近するのは間違いない。それらが燃料になって、生活できないレベルのバッシングに巻き込まれる可能性がある。

4.結構押しの強い性格?

正直、なんでこんなに鮮明にこの時のことを記憶しているのかというと、伊藤さんがかなりの美人さんであったことが一つ、もう一つはシャツのボタンが開きすぎことに強い違和感をもったから。なにも考えず開けてた場合、周囲が指摘してすぐ閉じるだろうから、おそらく伊藤さんの「私はステレオタイプ的な被害者としての振る舞いはしない」という意思表示だろう。
 

2017年6月頃 新潮による報道

おそらく記者会見報道の後だったと思うが、新潮記事を読んだ記憶がおぼろげに残っている。
 
安倍政権との関連については否定した上で、所轄署の捜査がおかしかったから自分が取り消しの判断をしたと、地位の高い警察官僚の証言が取り上げられていた。もちろん、所轄署の判断がおかしいから上が訂正するということ自体はありえるだろう。しかしながら、個別の事案にこんなエラい人が関与するなんてありうるんだろうか?現場の判断を政治がゆがめたという説明の方がすっきりする。
 
森友学園問題、加計学園問題だけでなく、自衛隊PKO日報問題などもあった。長期政権となった現政権ならこれくらいは平気でやるだろう。逆に、こういうことをやるから盤石だという方が因果関係としては正しいのかもしれないが。いずれにせよ、仮に伊藤さんの言い分に理があったとしても、検察審査会が伊藤さんの希望するような決定をすることはないだろう。
 
 

2017年10月ころ 検察審査会不起訴相当と判断

 
伊藤さんが苗字も公開し再度記者会見。このときは、驚きというより「やっぱり」という感想が強かったのかあまり印象に残っていないのが正直なところ。
 
検察審査会の不起訴相当判断は予想通りだった。しかしながら、猛烈なバッシングにも関わらず、ご家族にも同意を得たのか苗字も公開し、その上で書籍を出版、民事訴訟を提起したという。これは予想外。
 
実のところ、この時点では伊藤さんの著書を購入するまでの関心は持てず、購入には至らなかった。

 

 17年12月 森ゆう子議員ら「超党派・検証する会」

 
 大手メディアが報道していたのでチラ見。ニュース動画を見るところ、各省庁の官僚を厳しく追及しているようだが、ちょっと矛先を間違えているんじゃないかというのが率直な感想。一定の耳目は集めるかもしれないが、なにか結実することはなさそうだ。立憲民主党を中心として政権を追及するみたいな構図となっているが、自民党野田聖子さんあたりを巻き込み性暴力への対応という話にしないと事態は動かないだろう。 その後、あまり主要マスコミで報道されなかったこともありしばらく忘却の彼方へ。
 
 
 

 

2019年12月 判決前

事件がとうとう判決を迎えるらしくTwitter界隈が盛り上がり始める。なんだ、まだあの事件終わってなかったのか。えらく長引いたんだなぁ。いつもながらのウヨサヨ、フェミvsアンチフェミ的な構造になっているので、そんな話題が大好物の私はさっそくウォッチ。hanada掲載の山口さん手記、小川榮太郞さんの記事などが頻繁にRTされていた。小川榮太郞ってLGBT関連でアホなことを書いてた馬鹿だけどなんでこの件にも首を突っ込んでるの??などと思いつつ記事を読んだ。以下、気になった点を抜き出す。
 

山口さん手記

1.「私を訴えた伊藤詩織さんへ」というタイトル
 内容以前の問題で、ふつうに執筆すればいいものを、ねちっこい感じでかつ個人的な手紙のような体裁となっている。山口さんはパワハラ体質なのか?
2.ドラッグは使ってない、伊藤さんは大量飲酒しただけ
 私が事前にイメージしていたより、ドラッグを入れにくい状況だった。ただ、就職のかかった面接でそんな大量飲酒するかなぁ?
3.伊藤さんは記憶がないと言っているが、これはアルコール性健忘に過ぎない
 「記憶がなくなるくらい大量飲酒した人と性交しました」というのは準強姦罪の構成要件を満たしやすくなる。裁判を戦う上では不利な材料だろう。この記載は伊藤さんをdisることが主眼になっているが、弁護士にチェックしてもらってないのでは
4.伊藤さんが新潮記事で公開していないメールの中には、伊藤さんに不利なものがある。
 週刊誌なんだから文字数も限られるししょうがない。裁判では証拠として提出されてるだろうから、裁判官はちゃんとジャッジするだろう。
5.私のTシャツを着て帰ったのはおかしい
 え、伊藤さん、山口さんのTシャツ着て帰ったの?勿論Tシャツが同意を証明するわけではないが、伊藤さんにとってはかなり不利な事実。記事を読む限り伊藤さんはこのことを隠している様子。これはちゃんと調べなきゃ。

 

 

小川さん記事

1.バスルームの電話で助けを求めなかったのはおかしい

教科書に載せたいレベルの典型的2ndレイプ

2.産婦人科の診療録に「coitus(性交)AM2~3時頃、コンドームが破れた」と記載がある
これは伊藤さんにとってかなり不利な証拠。ただ、状況から避妊具を使うはずがない。妙な感じがする。態度留保。
3.なぜ産婦人科で尿検査を求めなかったのか
なぜ産婦人科で薬物検査ができると思ったのか。
4.伊藤さんは4月中旬から態度が豹変している。妊娠が心配とかはウソ
警察に相談したあとであれば、もうそれは戦いが始まってるわけで、途中で作戦を変更したり色々あるんじゃないですか。妊娠うんぬんは、たぶん行為の言質をとるためでしょう
 
5.新潮の記事で山口さんは不起訴なのに社会から抹殺された
山口さん自身が不倫を認めており、この時点でワイドショーには出られない人となった。不起訴うんぬんと無関係。
 
6.監視カメラ動画はなぜか閲覧制限になっている

伊藤さんが隠してるとしたら理由が気になる。行為そのものの動画とかでなければ制限する理由に乏しいはず。まぁ当然裁判官は見てるはずだから、裁判上は何の問題もないはず。

 
というわけで、判決前に調べた範囲では、裁判官がふつうに仕事をすれば伊藤さん勝訴が出るだろうと予想。ただし事案の性質上、裁判官に報復人事があり得るからどう転ぶかわからない。判決に注目しよう。
 

2019年12月18日 判決 伊藤さん側勝訴

とりあえずよかった。判決要旨を読むと、山口氏の主張がことごとく退けられている。
 
判決要旨を斜め読みした感想は以下の通り。
 
1.避妊具なしで性交が行われたことについて当事者間で争いがない
 
 産婦人科カルテの信ぴょう性は下がりますね。
 
2.原告はシャワーを浴びることなく帰宅。合意があったのなら不自然に性急
 
 シャワーを浴びずに帰っただけで合意なしと即断はできないが、確かに不自然ではある。伊藤さんが山口さんの歓心を得ようとしてやったことだったんなら、一緒にシャワーを浴びて何なら体を洗ってあげてもよかったんじゃないですかね。
 
3.捜査機関への申告について、被告がTBSのワシントン支局長を解任されたのは同月23日であり、原告が事実を警察に申告した同月9日の時点では、被告は同支局長として原告の就職を期待し得る立場にあったから、原告があえて虚偽の申告する動機は見当たらない
 
4月9日の時点では、山口氏はワシントン支局長だったのだから、金銭なり雇用なりを見返りに求めることもできたはず。「警察への相談」を交渉材料に使うという高等戦術もあり得るが、メールのやり取りではそんな文言がないので否定される。
 
4.原告は自宅まで電車で帰る意思を示していたのに、被告はタクシーこのが目黒駅に到着する直前に運転手にホテルに向うよう指示し、原告をホテルに同行させた
 
えっと山口さんは途中で嘔吐したからホテルへ向かったみたいなことを言ってたような。要旨ではそのあたりに触れてないな。そのうち全文が公開されるかな。
 
 
 
ちゃんと本件について調べてみようと思い立つ。訴訟案件をちゃんと報じてくれるネットメディアといえば弁護士ドットコムだな。ということで検索して出てきた記事はこれ。
 
 以下、山口さんの主張を紹介し、突っ込みを入れていく。
 

1.(鮨屋での伊藤さんは)酔っていることはわかるが、呂律は回っていたし、目つきがとろんとしていることもなかったので、どのくらい酔っているかは分からなかった 

 えっ、Hanadaでは、トイレから伊藤さんが出てきて驚いてすぐ会計したと言ってませんでしたか。

 

2.伊藤さんのスラックスにゲロがかかっていたか覚えてない

 えっ、「ゲロ塗れのスラックスを脱がせた」とメールにかいてませんでしたか。

 

3.なだめるような気持ちで(性行為に)応じた。

 えっ、これ真顔で言ったの?

 

4.伊藤さんの採用について

 伊藤さん代理人から「あなたの話を聞くとおよそ伊藤さん採用の余地がある人物とは思えない、本当に採用を検討したのか」と問われ、
 「お酒を飲んで元気になる人は嫌ではない。全然ダメという結論に達する印象はない。(略)火消しと言うとあれだけど、事実と違うことを戻す気持ちだった。懐柔するつもりでメールしたのではないが、このまま伊藤さんがこうしたことを言い続けるのか、私も動転していましたから、伊藤さんを雇用する、しないよりも、問題解決をしたいと言う意図だった。」
 
この代理人の質問は実にスマッシュヒットであったように思う。山口さんの話が本当なら、そんな人物を雇用するはずがない。山口さんはこの質問に完全に虚を突かれた様子で、かなり余計なことをしゃべってしまった様子。考えたら、山口さんがほんとうに伊藤さんの雇用を検討したのなら、TBSに関係する書類が残っているはずだ。そういえば、TBSは本件についてなにか述べているんだろうか・・・?
 
 これでは、裁判官が伊藤さん勝訴判決を出すのは当然。山口さん、こんな準備不足で勝てると思った?だとしたら何らかの後ろ盾があると思った??
 

2019年12月下旬 山口さん記者会見を視聴

 山口さんと小川さんが同席した記者会見(日本平和学研究所:小川栄太郎さんが主宰する団体による仕切り)を動画で視聴。現在、動画は削除されて見られなくなっている。
 
1.北口弁護士、「検事のおじさん」の話を長々と続ける
 いわく、「調べたが伊藤さんのおじに検事はいない」とのこと。だから伊藤さんは嘘つきであり、主張はまったく信憑性がない、と。真偽がよくわからないが、訴訟そのものと直接関係がない話を強調する姿に違和感。
 
2.山口氏、これまで発信を控えた理由を語る
 要は北口弁護士の意向で社会的発信を控えてきたが、今後は増やしていきたいとのこと。このとき、北口さんはちょっと意外な目つきで山口さんの方を見た(ような記憶がある。動画が消されており確認できないが)。どうも、依頼人と弁護士の間に信頼関係がなかったようだ。たぶん控訴審では解任するんだろうな。
 
3.タイラヨオ氏、「伊藤さんのせいで声を上げられなくなった本当の性被害者〜」
 いやそれ、山口さん勝訴判決だったらその話をするのわかるけど・・・。勝てるつもりでいたんですね。
 
4.小川榮太郞氏、「全く理解できない判決」と憤る
 俺はお前が全く理解できない。
 
5.山口氏、タイラヨオ氏の発言を受けて「伊藤さんは記者会見の時に笑ってたから本当の被害者ではない」「伊藤さんのせいで告発しづらくなった」との「性犯罪被害者の声」を紹介
 一般論的にそういう議論があることは理解できる。私も、最初の記者会見の時に、伊藤さんのふるまいがテンプレ的・ステレオタイプ的ではないことに着目したから。けど、敗訴直後に山口さんがそれを言うのはあまりにも悪手。
6.山口さん、北海道新聞女性記者の質問に対して異常に高圧的な返答
記者さんの質問は、裁判で論点の一つとなった、「性行為が行われたベッドがどちらであったか」という点に関するもの。確かに、あんまり練られた質問ではなかったのだが、対する山口さんの返答は「裁判記録を読め」というもの。そんなら記者会見なんてしなくていいんじゃないですかね。記者会見を論破合戦か何かと勘違いしているのでは。
 
 

その翌日? 山口さんが外国特派員協会で行った記者会見を視聴

 
ジャーナリストの江川紹子さんが質問に立ち、「昨日あなたは、本当のレイプ被害者は人前で笑ったりしないと発言したが、あなたの考えるレイプ被害者の正しい振る舞いとは」という趣旨の質問を行った。山口さんは「江川さんの発言は非常に不正確」「私が発言したんじゃなくて引用したに過ぎない」などと、ネット論客みたいな返答。江川さんは「いや、じゃぁなんの意図があってそこを引用したの?」と常識的な再質問をすると、「私が何を引用するか江川さんに指図されるいわれはない」と逆切れ。この人、女性には態度でかいのかな。

2019年12月下旬 AmazonBlackBox購入

 
 まずは斜め読み。初見時の印象は概ね以下のようなもの。
 
・伊藤さんのおいたち部分→高校を出たころから正確な日時が記載されてなかったり、めまぐるしく色んな国に移動しており、正直ちょっとよくわからない。事件と直接関係は少ないからスルー。けど、こんな履歴書を見て質問の一つもしない山口さんっておかしくない?
・事件当日、落ち合ってホテルに至るまで→伊藤さん、「政治部ってどんな仕事なんですか」とか、文春の記事を読んでないあたりは、就活生としてはポイント下がる気がするが、、まぁ本筋とは関係ないな。
事件部分の記載→山口氏は伊藤さんが同意してると思い込んでいる様子。ちょっと乱暴なやり方をこのむのが山口さんなんだろう・・・。
・伊藤さんが部屋から出るまでの記載→Tシャツのこと、ちゃんと記載してますね。山口さんは、伊藤さんの本を読まずに手記を書いたの?
産婦人科のはなし→キラキラ系クリニックに飛び込みで行ったものだから、アフターピル処方はテキトーになされたのだろうか・・・それにしてもかなり医師の態度を悪く書いてるけど、これ大丈夫なん?
NPOに電話した→えらく融通がきかない人に当たってしまったのかなぁ。
・メールのやりとり→事件直後に普通のやりとりをしてしまうのはまぁありうること。その辺の心境の変化や葛藤が描写されており、心が痛んだ。妊娠の心配云々について、いろいろと説明があるが、予想通り、行為があったことの言質を得るためのものだったよう。伊藤さんの立場なら当然。その後お金の話もでてるが、下手すれば恐喝に踏み込んでしまう可能性もあるからこれは危険。早期に弁護士と相談していたら、弁護士からの内容証明郵便という形になっていたのでは。
鮨屋の証言「日本酒を二人で一升近く飲んでいる」刑事「大量に飲んだということは準強姦罪を満たしやすくなる」→せやろな。
・警察や検察とのやりとり→異常に内容が詳細な上、にわかに信じがたいような内容(捜査員がいろいろしゃべりすぎ、逮捕状取り消し、示談をすすめる弁護士のもとへ警察車両で移動等)があまりに多すぎる。この辺がウソだとしたら警察機構が黙っていないと思うが・・・黙っているということは録音でもしてたのか?
 
 
 今日はここまで。その後、色々調べるにつれて、当時の所感が当たっていたこともあれば、間違っていたこともある。少しずつ記事にしていきたい。